五分五分
家に帰って着替えて待つこと数分。ビー玉が点滅し始めた。
「来たか!」
期待半分、失望の悪寒半分である。
ビー玉を握り締め、念じてみる。
”お~い、クレア~?”
”あっ・・・えーと、その、あの・・・”
「ん?」
”・・・お、お名前をまだ・・・”
「おおぅ!みすていく! まいねーむいず ゆーき ほーじょー」
”ま、まいねーむいず さん・・・ですか?”
日本語はおkなのに英語は駄目なのかよ・・・自慢出来る英語でも無いが。
「あー、ユーキが名前で、ホージョーが苗字。」
”ミョウジとはなんですか?”
「・・・あー、氏族の名乗り、が近いのかな。ホージョー家のユーキって意味。」
”ファミリーネームの事ですね。分かりました。”
なんでここだけ英語なんだよ・・・わけわかんねー世界だな。
「んで早速だが、画像は?」
”え?お、送りましたけど・・・?・・・あぁっ!送信出来ませんでしたになってるっ!”
「あ?」
”す、すみません・・・なんか画像は送れないみたいで・・・”
「むぅぅぅぅ。」
”お、怒らないでくださいぃ”
「いや、怒ってねーよ。悩んでるだけ。」
そいやこいつ、俺の事何にも訊かねーよな。遠慮してんのか?
「なーお前さ。俺がどんなヤツか気にならんの?なんも訊いてこねーけどさ?」
”それは・・・気にならない訳無いです。
でも・・・ユーキさんは、全てを捨てても私の為に来てくださる・・・かも知れないんですよ?
だったら・・・来てくださるのなら、全てを受け入れるのが、私の務めでは、と・・・”
そうだなー。考えてみたら、お互い声と名前しか知らねーんだよな。
向こうが受け入れてるんだもんな。こっちも受け入れるべきだな。
行ってやる、とか威張ってみても、俺だって”この世界から逃げられる”って喜んでんだもんな。
貸し借り無し。五分五分で丁度良いよな。
「堅苦しいヤツめ。」
”あぅ・・・だ、だって・・・”
「まー良いわ。んで、そっちには何か持ってけるのか?」
”えっ!き、来てくださるのですかっ!?”
「まーな。こっちに未練とかねーしな。」
”あ、あ、あ、ありがとうございますっ!!”
「で、何か持ってけるのか?」
”それは・・・何も無いです・・・”
「着のみ着のままかよ!」
”あぅ・・・いえ、その・・・服も・・・”
「なんだとーっ!?マッパでご到着!かいっ!」
”す、す、す、すみませんっ!”
「うーむ・・・服とか用意しとけよ。」
”そ、それは勿論ですっ!”
「あー、先に言っておくがな・・・」
”はい”
「俺はスケベだからな?
お前が俺好みの美少女だった場合、まず確実に押し倒してエロい事するぞ?
それでも良いのか?」
”///か、構いませんっ!私も魔族です!ユーキさんがどんな性欲魔人でも受け切ってみせますっ!”
「性欲魔人てお前・・・。まーあれだ、お前が俺好みじゃ無ければ何もしないから。手も触れんぞ。」
”凄い落差なんですね・・・”
「おーよ。それが男ってモンよ。」
”・・・”
なんか呆れられてる気もするが、構うもんか。
こいつが残念賞だったら、別の娘探せば良いんだもんね!
「んで、いつ召還するんだ?」
”で、でも・・・ホントに良いんですか?”
「くどいぞ。こっちに未練は無い!」
”わ、分かりました・・・準備しますので少しお待ちください”
「うむ。良きに計らえ。」
確かにコッチに未練は無いけど・・・村正は惜しいなぁ。師匠の形見だしなぁ。
もしかしたら、って事もあるし、ダメ元で持っててみよう。
ふと気づくと、足元が光ってる。
おー、魔法陣だよな、コレ。
”あ、あの・・・”
「魔法陣なら出たぞ?」
”え?良かったです。ちょっと不安だったんで・・・”
「ホントに大丈夫なんだろーな?次元の迷子とかイヤ過ぎるぞ?」
”魔法陣さえ出せれば問題無いはずです”
「ハズ?」
”あぅ・・・その、実践は初めてですから・・・”
「成る程な。理論的には問題無い、でもやった事は無い、と。」
”はい・・・だって、声が届いたのもユーキさんが初めてなんです”
「150年ぶりの会話だったってか?」
”はい・・・嬉しくてずっと涙が止まりませんでした・・・”
「顔が見えなくて残念だ。」
”悪趣味ですっ!意地悪ですっ!”
「ところでさ、肝心な事訊き忘れてたんだが・・・」
”何ですか?”
「お前、女だよな?」
”///女ですっ!赤ちゃん産めますっ!”
「ま、どっちでも良いか。」
”何でですかーっ!”
「何でって、お前はその部屋から出られりゃ良いんだろ?」
”そ、そうですけど・・・”
「なら、俺はドア開けてやれば良いだけで、あとは自由なんだよな?」
”・・・はい”
「そーゆー意味でなら、お前がどんなのでも構わないわけだ。」
”どんなの・・・”
「けどさ・・・前にも言ったけど、呼ばれて行くなら美少女に呼ばれたいんだな。男としては。」
”が、頑張りますっ!”
「いや、頑張ってどーなるモンでも無いだろ・・・」
”いーえっ!頑張ってユーキさんに気に入られる女になってみせますからっ!”
なんか男として凄いらっきぃな事言われた気がする・・・。
美少女だと良いなー・・・フツーお約束として美少女のハズだけど、”向こうの感覚では美少女。でもこっちでは・・・”って可能性もあるしなー。
最悪人型じゃ無いかも、だし。スライムの美少女とか言われてもな?
ええぃ!男は諦めが肝心だ!
「あー、クレア。」
”は、はい”
「呼んでくれ。」
”っ!・・・はい!”
魔法陣の光が強くなってきたな。
なんか身体が浮いてくよーな・・・
眠いぞ・・・