狩り
翌日、色々必需品買い込んでたら、ニノとサムに会った。
あのヘタレケンをけしかけるなんて、やるわねー、とか感心された。
まぁあの二人じゃなー。
ヘタレとツンデレなんて、誰かが蹴飛ばしてやらにゃダメだよなー。
私たちも頑張らなきゃ!とか意気込む二人と別れて、森に向かう。
いやさ、あのままエクバーグ家に居ると、毎晩自棄酒に付き合わされそーな悪寒がな。
思い返してみるとだ、昨夜アリサ居なかったんだよ。
って事は・・・言わなくても分かるってな。
町の門のとこで、ベッタリなバカップル化した二人に見送られ、
ほどほどにねー、とか言われたんだが。
その台詞そっくり返しちゃるわ!
そもそも森の中でそんな事・・・するけどな!
「居た居た。」
「3日めでやっとですね。」
「まぁ本気で探せばすぐ見つかったんだが。」
「んもう・・・エッチばっかりするんだから・・・///」
「お前が可愛い過ぎるのが悪い。」
「///するいんだからぁ。そんな事言われたら怒れないじゃないですかぁ・・・。」
ほどほどになんて無理だよな!
「さて、どう殺るか。」
「私たちなら、どうにでも出来る相手ですからねー。」
「緊張感無さ過ぎなんだよなー。
あー、そいや俺、まだ白兵戦やってねーから、いっちょやってくる。」
「はぁい。じゃあ私、お昼用意してますねー。」
「おう。」
熊はこっちに気付いて無い。一応風下から近付いたからな。
とは言え、ここまで来ればさすがに気付くだろ。
「グァッ!」
立ち上がり、俺を威嚇する熊。前のよりは小さいな。それでも俺よりずっとデカいんだが。
「お前に恨みは無いんだが、死んでもらう。」
居合いで決めるか。
けど胴だと一撃で逝かないかもな。デカいから。
となると首だなぁ。頚動脈バッサリってのが無難か。
あいつが四つん這いならドタマかち割るんだが、立ってるから狙いにくい。
「夕雲流、北条祐樹。参る!」
熊相手に名乗るのもアレなんだが、初の実戦だし。
やってみたかっただけじゃ無いんだからねっ!
鯉口を切りつつ、居合い腰のまま走る。
いきなり突っ込んでくるとは思ってなかったっぽい熊は、反応が鈍い。
「グァァッ!」
大振りの左前足の爪の下を潜る。
俺にかわされ、前足を付く熊。
「せいっ!」
目の前の首筋に抜き打ちを一閃。すぐに飛び退く。
「ゴアッ!」
一瞬後、鮮血が噴き出す。
「ガァァァァッ!」
のたうち回り、暴れる熊。俺は近付かない。返り血浴びたく無いし。
やがて動かなく、いや動けなくなる熊。
あー、なんつーかな。やっぱ生き物殺すってのはクるな。
必要だから殺ったわけだが、こーゆーのは理屈じゃねーんだよな。
前の熊は、実際白黒が殺ったわけで、俺が直接殺ったのはこいつが最初か。
「南無三・・・。成仏してくれ。」
殺るのもキタけど・・・解体はもっとキツかった。
一時期釣りに凝ってたんで、魚捌くのはお手のモンなんだが・・・
四つ足、しかもこのデカさ。うひー。
だが殺った以上、なるべく無駄にしないのは礼儀ってモンだろう。
けど、血の匂いって凄いわ。慣れるまで結構かかるかも。
「お疲れ様です。」
「うん。マジ疲れたわ。けどお前のおかげで助かったよ。」
「・・・気付いてたんですか。」
「あぁ。あれだけ匂うのに、何も寄って来ないわけ無いわ。結界でも無きゃな。」
「私に解体とか出来そうも無かったんで・・・申し訳なくて。」
「適材適所だよ。次も頼むよ。
それに・・・
血塗れのお前が嬉々として解体とかしてたら・・・似合うかも?」
「ひどっ!私は食人鬼ですかっ?!」
「冗談だよ。お前にあんな事させたくないだけ。」
「///」
「・・・でも似合いそうなのが怖いな。」
「もうっ!意地悪っ!」
2頭めは、即死で殺ったんだが、これは失敗だった。
血液が凝固しちゃうんで、肉がとても食えたもんじゃ無くなっちまった。
白黒すら食わんのよ。
その代わり毛皮とかは無傷なんで、価値は高くなりそうだな。
肉に利用価値が無いヤツにはこれが良さそうだ。
3頭めは、クレアの魔法で仕留めた。
いやさ。
「えいっ!」
だけで感電させて動きを止め、同時に発動させた風の矢?で眉間を貫通。
本人に解説されるまで解りませんでしたよ。ええ。
レッドカード切られても文句は言えないと思います。
「どうします?まだ狩りますか?」
「いや・・・もうやめる。ぶっちゃけ解体キツいし。」
「ごめんなさい・・・ユーキさんにばっかりやらせて・・・。」
「いや、俺がお前にやらせたくないだけだから。
お前に血は似合わないや、やっぱし。」
「///」
「ま、その分今夜はサービスしてもらおうか♪」
「///あぅぅ・・・ユーキさんがスケベ中年モードに・・・。」
「ぐへへへ・・・身体は嫌がって無いようだのぅ?」
「///きゃぁ・・・お代官様、お許しを~♪」
ノリが良いな・・・だがどこで覚えたのか謎だ。