初遭遇PartⅡ
しばらく歩いて行く事にする。
飛ぶのは楽だし速いんだが、夜だとやっぱ色々不便。視界とか。
まーチカラ使って高感度カメラ並みの視界を得る事も出来るんだけど・・・。
やっぱねー、人間て夜は眠くなるんだよねー。
昼間どんなに寝ててもね、夜はやっぱ眠くなっちゃうんだよ。
クレアもそうみたいで、行動は昼間にしようって事になった。
昼間だと飛ぶのはヤバいから、当然てくてく歩く。
最初のうちはアレなんだ?これ見た事ないです、とか二人で結構はしゃいでたんだが・・
昼前にはほぼ無言になってしまった。
「疲れた~。」
「はい~。」
「もちっと休みながらにするか?」
「でも歩くのに慣れておかないと・・・。」
「だよなぁ。冒険者なんて歩くのが基本だろーしなぁ。」
「疲労回復、掛けなくて良いんですか?」
「うん。俺はいーや。クレアは辛かったら掛けて良いよ。」
「イヤです。私も頑張ります。」
「きゅ?」「みゅ?」
思ったとおり、2匹の龍は俺らに付いてくる気満々だった。
こいつら、俺の肩に乗っかってただけだけだから、疲れてないし。
どーして私の肩には乗っかってくれないのー?とか、クレアが凹んでたが。
あーそうそう、黒いのは♂で、白いのは♀だった。
こいつらが子供作ったら灰色になるんだろーか?
「この子たちに名前つけましょうよ!」
「なんか良いのあるんか?」
「キューちゃんとミューちゃんです!」
「・・・」
「な、なんですかっ?!その可哀想な人を見るような目はっ!?」
「べぇ~つにぃ~?」
「くぅ・・・この子たちも気に入るハズですっ!」
「その自信はどこから?」
「キューちゃん、おいでー♪」
「・・・」
ガン無視する黒いの。
「ぷっ。」
「うぅぅぅ・・・ミューちゃん、おいでー♪」
「みゅ?みゅー」
パタパタとクレアの肩に移動する白いの。
「な、なにぃっ!?」
「うふふ・・・ミューちゃん、良い子ねー。お肉あげるからねー。」
「おい、クロ。」
「きゅ?」
「・・・反応した?」
「えぇっ?!そんな安直な名前にっ?!」
「お前には言われたくないわっ!なぁクロ。」
「きゅっ!」
「むぅ。」
「はっはっはっ!お前もこっちおいで、シロ。」
ガン無視される俺。
「な、何故だぁっ?!」
「うふふ・・・貴女はミューちゃんよねー?」
「みゅ」
「ぬぅぅぅぅ。」
結局、白いのはミュー、黒いのはクロに決定した。
だってこいつら、その名前にしか反応しねーんだもん。
「さて、昼飯食ったし行くか。」
「はーい。」
「クロ。」
「きゅ?」
「クレアがいじけるから、あっち乗ってやれ。」
「きゅい」
「イヤだってか?じゃぁミューは?」
「みゅぅ」
「お前もか・・・なんでだ?」
「いーんです・・・私は嫌われてるんです・・・ぐすっ。」
2匹はなんか考えて?から、パタパタとクレアの肩にとまる。
が・・・
「あーなるほどね。」
「私の肩だと・・・狭すぎて掴まってるのが大変なんですね・・・。」
「嫌われてるわけじゃなくて良かったな。」
「はい・・・でもやっぱり残念です・・・。」
「ふーん。でもなー、肩幅広い女の子って、あんまし好みじゃねーんだよな俺。」
「えっ?!そ、そうなんですか?」
「うん。クレアくらいが良いな。」
「///えへへ・・・。」
可愛いいんだけど、安いよなーこいつ。
結局、白黒コンビはまた俺の肩。
いやさ、ぢつは辛いんだけどね。こいつら結構重いし。
両肩に3kgずつ乗せてるってのはね。
「ふむ。冒険者になったら、職業は龍使いにしよう、っと。」
「むぅ。うらやましい。」
「お前は魔女だな。うん。」
「えぇ~。せめて魔法使いとか魔導師にしてくださいよー。」
「・・・そうだな、考えててみれば、お前には魔女は無理っぽいな。」
「・・・なんでですか?」
「妖しい色気が足りん!」
「はぅっ!」
「まぁ、その魔乳のおかげで、色気はあるんだがな。妖しくない。」
「///ま、魔乳ってなんですかーっ?!」
「男を誑かす魔性の乳。」
「///た、誑かしてませんっ!」
「俺は誑かされたぞ?」
「だったら・・・誑かすのは、ユーキさんだけです///」
「いや、大抵の男は勝手に誑かされると思うぞ?」
「そんなの勝手に誑かされてれば良いです。私はユーキさんだけ誑かすんですっ!」
「誑かすとか宣言されてもな・・・。」
「えいっ!」
「引っ付くな!」
「誑かし実行中です♪」
俺の左腕は、魔乳の狭間に埋もれてしまった・・・。魔乳恐るべし。
誑かされるのも悪くないなー。
けどな、両肩に荷物載せてるうえに、こいつにぶら下がられるとな・・・。
まいっか。頑張れ俺。
「おんや?何か聞こえるな?」
「人間の声みたいですね・・・あとは魔獣っぽい・・・。」
「襲われてるのかな?」
「逆の可能性もありますけど。」
「なるほど。確認する必要があるな。
人間が襲われてるなら助けよう。
逆ならシカトって事でおk?」
「ですね。」
「おし、クロ偵察してこい。」
「きゅ!」
なんか凄い速さで木々の間を縫って飛んでっちゃったな。しかも無音。
「・・・なんかあいつ凄くネ?」
「龍ですから・・・本気だとあれぐらい出来るんですね。」
「とにかく追いかけよう。なるべく音立てるなよ。」
「はい!」
「・・・で、どっちだ?」
「・・・」
「みゅ!」
「ん?お前解るのか?ミュー。」
「みゅみゅ」
「おし。なら案内は任せた。」
「みゅー!」
いやしかし、森の中走るってのは大変だわ。
地面の硬さは一定じゃ無いし、根っことかはびこってるし。
「うひー。まだかぁ?」
「みゅ!」
「見えました!」
「お・・・あれは襲われてるっぽいな。逆だとしても負け確定だな。」
「・・・ですね。」
なんかバカでかい熊と、3人が闘ってるんだが・・・2人はまるっきりお荷物じゃん。
1人は剣士か。でもあの腕じゃぁ、熊には勝てそうも無いな。
1人はなんか気絶してるっぽいな。魔導師か?
もう1人は気絶したのを介抱してるのか。って事は神官系だな。
にしても、だ。3人とも女の子って・・・どこのギャルゲ?
クロが見当たらないな?どこいったんだあいつ?
「きゅ」
「頭上にいたのか。」
「きゅきゅ」
「お前ら、あの熊に勝てるか?」
「きゅ!」「みゅ!」
「自信たっぷりだな・・・おし。なら任せた。殺っておしまい!」
「きゅっ!」「みゅっ!」
クロはまた凄いスピードで飛んでく。
ミューはみるみる高度を上げていく。
やっぱ闘い方は違うんだなあいつら。
「え?え?・・・あの子たちにそんな事させるんですか?」
「俺らは間に合わないっぽい。
まぁ裏技使えばここからでも殺れるけど、初対面の相手に見せたくない。」
「なるほど・・・でも、あの子たち大丈夫でしょうか?」
「お前、龍ならこの辺で無敵だって言ってたじゃんか。」
「知識としてはそうなんですけど・・・実際見たわけじゃ無いですし・・・。」
まー、一見あの熊には勝てそうも無いよなー。3mはあるんじゃねーか?
「大丈夫だよ。あいつら賢いからな。無理はしないさ。
それに殺れなくても、俺らが着くまでの牽制になれば十分。」
「そうですね・・・あの子たちお利口さんですもんね。」
「助太刀するぞっ!」
「あ、ありがとうございますっ!」
ふっふっふっ・・・中々上玉揃いじゃねーか。ハーレムフラグ復活か!?
とかほくそ笑んでたら・・・後頭部に衝撃が!
「杖で殴るのは反則だろ!てか何で気付かれたんだっ?!」
「顔がめちゃくちゃだらしなくなってますっ!」
と、いきなり熊から血飛沫がっ!
「ゴァァァァァァァッ!」
「なにごとっ?!」
「あ。」
白黒コンビが俺の頭上でホバリングしてる。こいつらが殺ったのか・・・強いなおい。
熊は噴水の如く鮮血を撒き散らしながらのたうち回ったあげく、動かなくなった。
女の子たちは、安心したのかヘタりこんでいる。
「あのなー、血の匂い嗅いで他のが来るぞ多分。そんなヒマあったら警戒しとけ阿呆。」
「なっ!阿呆とは何よっ!」
イキの良さそうな赤毛の剣士が噛み付いてくる。
「ま、そのザマじゃ無理か。ミュー、頼む。」
「みゅ!」
「ちょっと!」
「うるせぇ。自分たちが勝てない相手とやり合う時点で阿呆なんだよ。文句あっか?」
「う・・・。」
「あ、あの・・・助けていただいてありがとうございます。
私たちは、この森に生えている薬草を採りに来たんですが、運悪く爪長熊に出会ってしまって・・・
その、こちらから挑んだわけでは無いんです・・・。」
茶髪の神官っぽい娘が割り込んできた。ふむ。赤毛よりは知的だな。
まー剣士なんて総じておバカ猪突キャラだしな。
「ふむ。お前さんはマトモだな。礼すら言えないそこの剣士とは大違いだな。」
「うっ。」
赤毛が俯いている。ふむふむ。バカなだけで根はお人よしっぽいな。
おちょくり甲斐がありそうだ。
あっちではクレアが残りの1人を治癒してる。
って事は命に別状は無いな。
「あの熊は、結構数いるのか?」
「少ないわけではありませんが、この季節にはまだ冬篭りしているのが普通なんです・・・。」
「なるほどね。それほど無茶したわけじゃないのか。」
「はい。爪長熊以外、この辺りにはそんなに危険な獣はいないので・・・。」
「ふーん。
ところで、お前さんたちは、冒険者か?」
「はい・・・あ、申し遅れました。
私はニーノ・ピクシオと申します。初級神官です。
あちらでお連れ様に治癒していただいてるのが、サマンサ・パルク。
魔導師です。
それから・・・。」
「ちょいまち。
お前、自己紹介くらいは出来るだろ?」
なんか凹んでるっぽい赤毛に振る。
「え?あ?
あ、あたしは・・・アリサ・・・アリサ・エクバーグ。
そ、その・・・助けてくれてありが・・と。」
「あぁ。
俺はユーキ・ノースだ。
あいつはクレア。クレア・ヒギンズ。」
クレアが怪訝そうにこっちを見たけど、すぐに納得したみたいに頷いた。
察しが良くて助かる。うん。本名は隠しておくに限る。
「あの・・・クレアさんは魔導師だと判りますけど、ユーキさんは、その・・・。」
「ん?龍使い。」
「りゅ、龍使い・・・ですか?」
「ほら、あいつら。」
俺の頭上でグルグル追いかけっこ始めた白黒を指差す。
「あ、あの仔龍は、一体どう言う・・・?」
「ん?あいつらはただのペットつーか・・・。」
「ペ、ペット・・・龍がペットって・・・。」
「そんなにヤバいの?」
「わ、悪いわけではありませんが、その、なんと言うか・・・ペットって、えぇー?!」
「ありえねー、って事。」
今度はアリサが割り込んできた。
ふーむ。この2人、付き合い長そうだな。
「龍ってのは、ヒトなんか相手にしないんだよ普通。
エサにするには小さいし、マズいらしくてね。
それにこんな子供でも、ヒトよりずっと強いんだよ?
自分より弱い相手に懐くとかありえないでしょ?」
「そりゃそうか。
ふーむ・・・餌付けしただけなんだけどなー。」
「アンタ、異常。」
「さらっと異常とか言うんじゃねー!」
「あっちの・・・クレアさんだっけ?彼女も相当だけどね。」
「そうなのか?」
「うん・・・正直言って、サムはもうダメだって思ってた。」
「・・・あぁ、サマンサだからサムね。」
「あの娘、熊にザックリやられちゃって・・・ニノの治癒もほとんど効果無くて・・・なのに・・・。」
「クレアがやったら治った、か。」
「うん。凄いよアレ。感謝してもしきれないよ。」
「俺には?」
「しない。するならあの子たちでしょ?」
白黒を見上げるアリサ。
あー、言われてみればそうかも。
「じゃあ、あいつらに肉とか振舞ってやってくれ。出来ればジャーキー。
俺のはもう全部食われたんでな。」
「ジャーキーは私のですっ!・・・もう無いけど。」
「おおぅ、クレア。あの娘は?」
「もう大丈夫ですよ。しばらくしたら目を覚ますと思います。」
「あ、ありがとうっ!」
サムにダッシュしてくアリサ。まぁ良い子っぽいな。いじるのは少しだけにしてやろう。
って、結構胸あるじゃん、あいつ。
「手を出したらダメですからね?」
「な、なんのことでせう?」
「・・・」
「いでででででっ!」
おかしい。関白ハーレム宣言したはずなのに。
「本当にありがとう。」
復活したサムに深々と頭を下げられる。
「いやいや。気にするな。」
「アタシの時とは随分扱いが違うんじゃない?」
「ヒトと獣で扱いが違うのは当然だろう。」
「どーゆー意味っ?!」
「そんな事も判らんとは・・・。」
「ぐるるるる!」
うん。やっぱアリサはいじり甲斐があるな。おっぱいもいじりたいんだが、クレアから無言のプレッシャーが・・・。
ニノには興味アーリマセン。
控えめな性格で好感度は高いんだけど、おっぱいも控えめなのはダメだな。
無いわけじゃないんだけど、Cになるかならんか・・・俺基準で不合格。
サムは・・・描写しないのが優しさと云うモノだろう・・・。
かなり濃い茶髪の、いかにも魔女っ娘なんだが・・・。
ブラ要らんよな、な感じ・・・。
3人とも結構美少女なのになー、及第点は赤毛だけかぁ・・・。
「サムちゃんて、何歳なの?」
だーっ!クレアの阿呆!空気嫁!
「じゅ、16・・・。」
「アタシもだよ。」
「私もです。」
「私も16なの。よろしくね。みんな。」
おいっ!一桁サバ読むってどんなだよっ!
まー人間のフリするにゃ仕方ねーか。
ふと気付くと、視線が痛い。
「お、俺?17だけど。」
「「「ウソっ!」」」
3人でハモるなよな。
「絶対40くらいだと思ってた・・・。」
「それは酷いよ。せめて30代にしてあげなきゃ。」
「オヤジ顔で悪かったなぁっ!」