ありきたりのプロローグ
えー昨日投稿したのが、作者ポカミスにより消失しました・・・。
また一から書き直しました・・・。
主人公が少し、てか大分変わったかも。
俺の名は北条裕樹。
一介の高校生である。彼女は居ない・・・居た事も無いし予定も無い(涙)。
2年前の飛行機事故で、家族は全員失った。
今は、辛うじて親戚と呼べる程度の”ほぼ他人”の家に厄介になっている。
両親の財産は、ほぼ全部、親戚と言い張るハイエナどもに食い散らかされた。
今はその内の一匹(いや夫婦だから2匹か)に世話になってるつーのが何ともな。
おまけに、
「食わせてやるんだから有り難く思え」
と来たもんだ。
嬉しくて涙が止まらないですよ。全くね。
家族と財産全てを失って、茫然自失状態からも覚めた俺は、こいつら全員ブチ殺そうと思った時期もあった。
そんな俺を諌めてくれたのは、剣の師匠だった。
俺の実家の近所に住んでた爺さんなんだけど、夕雲流って剣術の継承者だったんだ。
俺はその爺さんに、ガキの頃から習ってたんだわ。
きっかけは何だったかなぁ?忘れた。
あ、剣道じゃ無くて剣術ね。
剣道はスポーツ。剣術は実戦用。
大体さ、”決められた部位以外打っても無効”とかさ、実戦で言ってられ無いっしょ?
そりゃ確かに、面のトコ斬られりゃ致命傷だけどさ、肩斬られても平気!な訳無いべさ。
試合にしてもそう。江戸時代は平和だったから、「試合=腕比べ」になっちゃったけど、本来は「死合=果し合い」なんだよね。
宮本武蔵が良い例。
まーそんなのはどーでも良いか。
取りあえず師匠に「生きてる事を感謝すべし」みたいな事言われて諭されて、復讐はやめた。
あいつらは汚い奴らだけど、家族の仇じゃ無いしね。
んでまぁ、遺産盗った奴らに養われつつ、休日は爺さんトコ通って修行してたんだけど、こないだ爺さんも逝っっちまった。
形見にエラい業物遺してくれたけどさー。こんなの貰って良いのかよ、ホント。
「村正」
そう、あの村正。
妖刀ってのは都市伝説の類だけど、銘刀なのは事実。実際切れ味は凄まじい。
売れば何千万とかになるっぽい。真正なら、だけど。
俺は鑑定眼とか無いし。
村正の特徴には当て嵌まってるんだけどさ、写しとかもあるしねぇ。
まー売る気なんざさらさら無いし、切れ味抜群なんで問題無いしな。
ま、そんな訳で、師匠まで居なくなっちまったから、今の俺には味方って言える人は皆無。
なんとなーく学校行って、帰って来たらゲームしてるだけ。最近素振りとかもサボってるなぁ。
鈍ってきたなー、とか思いながらの下校。歩いて30分の距離だしな。
帰ってもハイエナ夫婦はどーせ留守だろーし、晩飯どーすっかなー?
なんか食って帰っても良いんだけど、一応育ち盛りなわけで、またすぐ腹減るんだよなー。
「おんや?何か光った?」
近道の公園抜けて歩いてたら、池のほとりで何か光った気が。
この池って、昔っからあるらしくて、公園の池には珍しく人工じゃ無いそーな。
「お宝だったりして♪」
んな訳無えよ、とボケツッコミしつつ近付いてみる。
「ビー玉?」
にしちゃ綺麗だなコレ。ガラスとは思えん。
”助けてください”
「何奴!?」
剣術齧ってるし、愛読してるのは専ら歴史・時代小説だったりする俺は、どーも時代錯誤な台詞を吐くクセが・・・。
”私の声が聞こえるんですか?!”
「・・・」
なんか女の子っぽいな。しかぁし周りにはだーれも居ない。この声はどっから・・・ビー玉?
「あーあー、テステス。聞こえますかー?」
試しにビー玉に話しかけてみる。周りに誰も居ないとは言え、我ながら胡散臭過ぎるアクションなんで、無論小声である。
”ッ!き、聞こえますっ!お、お願いです、私をここから出して下さいっ!”
「ここって?このビー玉からか?」
何フツーに会話しとるんだろ俺。
あー、ゲームのやり過ぎかなー?ラノベとかも読んでるしなー。脳がもうアッチ方面なのか・・・。
”あっ、いえその、それは通信用の・・・”
「あっそ。んじゃアンタはどこにいるねん?それがまず分からんぞ。」
”へ、部屋ですが・・・”
天然かよっ!
「お前・・・バカだろ?」
アンタからお前に降格。
”ひ、酷いですっ!いきなりそんなっ!”
「だってお前、世界にどんだけ部屋があると思ってるんだ?」
”あ、それもそうですね・・・”
なんだコイツは・・・
「んで、そこはドコの部屋なんだ?」
”私の部屋です”
「・・・おーけー。サヨウナラ。」
”あっ!ま、待ってくださいっ!ホントにそれ以上判らないんですっ!”
「あ?何故?」
”わ、私・・・ココから出られないんです・・・”
なんとっ!監禁となっ!?いや事故か?
いやいや、事故なら大まかな居場所くらい判るよな。多分。
「ケーサツに連絡するから、官姓名を名乗れ。」
”ケーサツって何ですか?カンセーメーって?”
「ケーサツ知らんのか?日本人だろお前?」
”いえ、私は王魔族です。ニッポンジンって種族ではありません”
「ってお前日本語で喋ってるじゃんか?・・・オウマゾク?」
”ご存知ありませんか?”
ご存知あるわきゃ無ぇ・・・。日本人じゃ無いガイジンだとしても、ここまで流暢に会話出来るのにケーサツ知らんとか有り得ねーよな?
これはもしかして第○種接近遭遇とかじゃあるまいか?
いやそもそもビー玉で会話してる時点でアレなんだよな。俺ってもう末期かもな・・・。
”あ、あの・・・まだそこにいらっしゃいますか?”
「・・・あ、あぁスマン。んでお前さ。」
”はい?”
「具体的に、どーすりゃそこから出られるんだ?」
”私以外の誰かが、この部屋の扉を開けてくだされば・・・”
「外からは開けられないのか?」
”まず無理です。この結界を破れるのは発動した本人のみです”
結界と来たか・・・こりゃもうカンペキにアッチ方面だな。
それを理解しちゃってる俺も俺だがな。
「その本人はもう居ないって事か?」
”・・・父は亡くなりました”
「スマン。」
”いえ・・・もう150年も前の事ですから・・・”
はい決定。こいつ人外。デムパじゃ無ければ、だが・・・ビー玉通信の時点でもうアレだしな。
「そうか・・・んでお前は、俺に来て欲しいっつーわけだな?」
”はいっ!来ていただけるならば・・・”
「どうやって行けば良い?」
”私が召喚します!”
「結界があるんだろ?んなの弾かれねーか?」
”結界は、異世界には作用しませんから・・・”
「あー、やっぱ異世界なのね・・・。」
”はい、それで、あの・・・その・・・”
「行ったらコッチにゃ戻れない、ってか。」
”あぅ・・・はい、そうなんです・・・呼ぶ事は出来るんですが、その・・・”
「なぁお前・・・150年ひとりぼっちだったのか?」
”う・・・はい・・・ずっと一人です・・・”
「ちょっと考えさせてもらおう。連絡はこのビー玉持ってりゃ良いのか?」
”あっ、はい!それを握って私の名前を念じてくだされば・・・”
「・・・お前、なんて名前?」
”あ、ああぁぁーっ!名乗りもせず、し、失礼いたしましたっ!私はエルクレア・ミューリィ・バルクホルンと申します!”
「長げーなおい。エルクレ・・・クレアで良いか?」
”///あ・・・はい、そ、それで構いません///”
なんか照れてるっぽい気配。かわいーじゃねーか・・・ハッ!!
「あー、クレア。つかぬ事を訊くが・・・」
”はい?”
「お前、スリーサイズは?」
”///そっ、そんなの言えませんっ!///”
「教えてくれなきゃサヨナラだ。」
”そ、そんなっ!”
我ながらサイテーだな。つかスリーサイズは通じるのか。
「だってよー、もしかしたらコッチの生活捨てて行くんだぜ?んで行ってみたら相手は全然タイプじゃ無かった・・・なんてイヤだしぃ?」
”うぅ・・・そ、それでは、あの・・・私の画像をお送りしますから、それで、その・・・”
「画像送れるのか?すぐ送りなさいっ!出来れば全裸のをっ!」
”///そんなのありませんっ!・・・ただその、送るのに時間がかかります・・・”
そいやまだ公園だった・・・まずおうちに帰るか・・・。