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ー第4項 バルコニーで交わされる悪魔との契約更新。復讐の果てに手に入れたのは、魂が尽きるまで終わることのない共犯関係と永遠の支配

第4項 バルコニーで交わされる悪魔との契約更新。復讐の果てに手に入れたのは、魂が尽きるまで終わることのない共犯関係と永遠の支配


祝賀の宴が終わり、王宮が静寂に包まれた深夜。

セシリアは一人、最上階のバルコニーに出ていた。

夜風が彼女の銀髪を揺らす。眼下には、宝石箱をひっくり返したような王都の夜景が広がっていた。

かつて断罪され、全てを失いかけた場所。

それが今では、自分の意のままに動く巨大な王国となっている。


「……美しい眺めね」

「ええ。貴女に相応しい景色です」


音もなく、背後の闇からノワールが現れた。

彼はセシリアの隣に並び、同じ景色を見下ろす。

執事と主人という関係を超えた、濃密な空気が二人の間に流れていた。


「ねえ、ノワール。私の人生、最高の復讐になったかしら?」


セシリアの問いに、ノワールは喉を鳴らして笑った。

その笑みは、人間には決して真似できない、底知れぬ闇を感じさせるものだった。


「愚問でございますね。あの愚かな王子たちの末路、そして世界中が貴女に跪くこの光景。これ以上の復讐劇がどこにありましょうか」


ノワールは長い指で、セシリアの顎をそっと持ち上げた。

彼の瞳が、セシリアの魂の奥底を覗き込むように赤く輝く。


「それに……お前の魂の味は最高だ。絶望の淵から這い上がり、他者を踏み台にして輝く、その傲慢で気高い魂。熟せば熟すほど、芳醇な香りを放っている」


「ふふ、まだ食べさせないわよ? 契約は『私が満足して死ぬまで』でしょう?」

「ええ、そうですとも」


ノワールは顔を近づけ、セシリアの耳元で甘く、低く囁いた。


「だから、転生などさせんぞ。死んで輪廻の輪に戻るなど許さない。お前がこの世での生に飽き、魂を差し出すその時まで……いや、差し出した後も、お前はずっと俺の中で生き続けるのだ」

「独占欲の強い悪魔ね」

「それが悪魔というものです。ずっと俺の相棒でいろ、セシリア」


セシリアは妖艶に微笑み、ノワールの頬に手を添えた。


「いいわ。地獄の果てまで付き合ってあげる。私を楽しませ続けなさい、ノワール」


二人の影が月明かりの下で重なる。

王都の輝きは、まるで二人を祝福するかのように、あるいはその禍々しさを隠すかのように、どこまでも眩しく夜を照らし続けていた。


永遠の繁栄。

その言葉通り、この国は魔女と悪魔が飽きるその日まで、決して終わらない黄金時代を謳歌し続けることだろう。

嘆きの塔から漏れる怨嗟の声など、誰の耳にも届くことはないままに。


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