ー第3項 王国の騎士団長や宮廷魔導師などの重要人物が次々とセシリアの国へ亡命し、王国が空洞化する話
第3項 王国の騎士団長や宮廷魔導師などの重要人物が次々とセシリアの国へ亡命し、王国が空洞化する話
ある夜。
王宮の裏門から、数台の馬車が音もなく走り去った。
乗っていたのは、王国騎士団長のガレイン将軍とその部下たち、そして宮廷魔導師団の筆頭であるエルフの賢者、エルウィンだった。
「……さらばだ、祖国よ」
ガレインは振り返り、闇に沈む王宮を見上げた。
彼は武人として国に尽くしてきたが、アルフレッドのあまりの愚かさと、ミナによる軍事介入(魔物を殺すな命令)に愛想を尽かしたのだ。
「部下を無駄死にさせるわけにはいかん。セシリア様の元なら、彼らの命も報われるはずだ」
エルウィンも静かに頷いた。
「私の魔法研究も、あの聖女様には『気持ち悪い』と一蹴されましたからな。セシリア様の知性こそが、真に魔導を理解してくださる」
彼らは国境を越え、荒野へと入った。
そこで目にしたのは、噂以上の光景だった。
夜だというのに、街は魔法の明かりで煌々と照らされ、防壁の上ではドワーフ製のゴーレムが見張りをしている。
そして、門の前には、かつての主君よりも遥かに気高く、強大なオーラを纏ったセシリアが立っていた。
「ようこそ、ガレイン将軍。エルウィン殿。……お待ちしておりましたわ」
セシリアは微笑み、手を差し伸べた。
その背後には、巨大な黒い影――ノワールが控えている。
「あなたたちの忠誠と才能、高く買います。私の国のために、その力を貸してください」
二人はその場に跪き、新たな主君に忠誠を誓った。
この日を境に、王国の人材流出は決定的となった。
大商人ギルドの長、凄腕の建築家、伝説の鍛冶師……。国を支えていた柱たちが次々と抜け、セシリアの国「新生オルティス」へと吸収されていったのだ。
王国に残されたのは、イエスマンだけの無能な側近と、行き場のない老人たち、そして荒れ果てた土地だけであった。




