第3章 第1項 悪役令嬢を処刑した王国のその後、無能な王子とヒロインの政治で国が急速に荒廃する話
第3章 王国の崩壊と人材流出
第1項 悪役令嬢を処刑した王国のその後、無能な王子とヒロインの政治で国が急速に荒廃する話
セシリアが王都を去ってから、半年が過ぎた。
王国は、緩やかに、しかし確実に死に向かっていた。
「おい、また増税か!? これじゃパンも買えないぞ!」
「魔物が出るようになったのに、兵士が来ない! 国は何をしてるんだ!」
王都の市場では、怒号と悲鳴が飛び交っていた。かつての活気は消え失せ、人々の目は濁り、浮浪者が路地裏に溢れている。
原因は明らかだった。
セシリアを「悪」として断罪し、処刑したアルフレッド王子と、新たな寵姫となった「聖女」ミナによる政治の失敗である。
アルフレッドは政治に関心がなく、ミナの言いなりだった。そしてミナは、前世の知識(ゲームの知識)だけで国を動かそうとした。
「みんな平等にしましょう! 税金は安く! 魔物はかわいそうだから殺さないで!」
彼女の掲げる理想は美しかったが、現実は甘くなかった。
税収不足で公共事業は止まり、魔物の保護区を作った結果、繁殖した魔獣が村々を襲い始めた。さらに、ミナが気に入らない貴族や官僚を次々と罷免したため、行政機能は麻痺していた。
「ミナ、今日も素敵だよ。君の言う通りにすれば、きっと皆幸せになる」
王宮のバルコニーで、アルフレッドはうっとりとミナを見つめていた。
彼には、眼下の民衆の苦しみが見えていない。いや、見ようとしないのだ。自分たちは「正義」を行っており、不満を持つ者は「悪」だと信じ込んでいるからだ。
「ええ、アルフレッド様! 私、頑張ります!」
ミナは可愛らしく笑ったが、内心では焦っていた。
(おかしい……。ゲームなら、悪役令嬢がいなくなればハッピーエンドになるはずなのに。なんでこんなにうまくいかないの?)
彼女の知識にあるのは「イベント」だけ。
複雑な利害関係や、経済の仕組み、人の心の機微など、彼女には理解できなかったのだ。
そして、その歪みは、王国を根底から腐らせていった。




