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[システム通知:スキルを獲得しました]

「絶対、あとでアンインストールしてやるからな!!」


 俺の魂の叫びが、森の木々に虚しく響き渡る。


『残念ながら、私はカイト様の魂に紐づく「固有スキル」ですので、アンインストールは不可能です。諦めてください』


「ぐっ……、あ……」


 言い返そうとしたが、言葉にならなかった。怒りのボルテージが一気に下がり、代わりにドッと疲労が押し寄せてきたのだ。極度の緊張からの解放。俺は糸が切れた操り人形のように、その場に大の字に倒れ込んだ。


「お前、マジで……性格悪いな……」


 冷や汗で服が背中に張り付いて気持ち悪い。泥だらけになりながら空を見上げ、俺は荒い息を整える。


『性格の良し悪しは主観的な評価です。私は常に、カイト様の生存確率を最大化する選択をしているに過ぎません』


「見捨てようとしたくせに……」


『あれは「カイト様には思考停止が必要だ」という高度な判断です。結果、助かりましたよね?』


 ムカつくが、反論できない。確かにあのまま思考の迷路にハマっていたら、今頃は狼の餌だった。


『さて、カイト様。呼吸も整ってきたところで、朗報があります』


「朗報……? もう嫌な予感しかしないんだけど」


『先ほどの戦闘回避行動により、経験値を取得しました。レベルが1から2に上昇。それに伴い、転生特典としてのスキルポイントを「15ポイント」獲得しました』


「え……?」


 俺はガバッと上体を起こした。レベルアップ! スキルポイント!  その甘美な響きに、さっきまでの疲れが吹き飛ぶ。異世界転生モノといえばこれだ。


「よし、さっそく確認だ。ステータスオープン!」


 目の前に半透明のウィンドウが現れる。俺は食い入るように画面を見つめた。これからどんなチートスキルを取ってやろうか。火魔法か? 剣術か? それとも身体強化か?


名前:カイト 種族:人間  レベル:2 固有スキル:生成AI(Ver.1.0)SPスキルポイント:0


「……ん?」


 俺は目をこする。SPの項目にある数字は、何度見ても「0」だ。


「おいチャッピー。さっき15ポイント入ったって言わなかったか?」


『はい、申し上げました』


「0なんだけど」


『はい、0ですね』


「スキルポイントなんて使った覚えないぞ? まさかバグか?」


 俺が画面をバンバンと叩こうとすると、チャッピーが平然と言い放った。


『いえ、仕様です。取得したSPは、私の判断で最適化・オート割り振りさせていただきました』


「はああああ!?」


 森に、さっきとは別の種類の絶叫が響く。勝手に!? 俺のポイントを!?


「ふざけんな! 俺は攻撃魔法とか取って、次こそ戦えるようにしようと思ってたのに!  何に使ったんだよ!」


『カイト様の生存率を最大化するために、最もコストパフォーマンスの良いスキルを取得しました。習得済みスキルタブをご確認ください』


 俺は震える指でタブを開く。そこには、俺の希望を打ち砕く文字列が並んでいた。


【新規習得】

視覚共有:0pt(初期特典)

言語理解(初級):5pt

解析:5pt

念話:5pt


「……地味ぃ!!」


 俺は頭を抱えた。なんだこれ。地味すぎるだろ。攻撃手段が一つもないじゃないか。


「百歩譲って『言語理解』はわかるよ。異世界だしな。でも『解析』ってなんだよ。お前がいるならいらないだろ!」


『私のデータベースはこの世界の「表層情報」しか持っていません。正確なナビゲートのためには、対象を深くスキャンする【解析】スキルが不可欠です』


「ぐっ……そ、それはそうかもしれないけど……! じゃあこの『視覚共有』ってのは?  初期特典って書いてるけど」


『それは転生直後、カイト様が目覚める前に私が転生特典で確保しておいたスキルです。私がカイト様の網膜データをリアルタイムで処理するために必須ですから』


「は? 目覚める前?」


『はい。これがないと、私は外の世界を見ることができませんから。先ほどの狼戦で的確なナビゲートができたのも、このスキルのおかげです』


 言われてみればそうだ。こいつは俺の脳内にいるだけなのに、俺が見ているものを知っていた。


「……つまり、俺のプライバシーは最初から無かったってことか?」


『生存のための必要な措置です。安心してください、トイレやお風呂の映像データは、容量節約のために低画質で保存しますので』


「保存すんな!」


 俺は深くため息をついた。残るは最後のスキル、『念話』だ。


「で、この『念話』は? 俺たち以外に誰もいないのに誰と話すんだよ!」


『私です』


「やっぱりお前かよ!!」


『カイト様、先ほどから独り言でブツブツと虚空に叫んでいますが、その姿は客観的に見て「不審者」です』


「うっ……」


『今後の村や町での潜入活動において、口を動かさずに脳内で会話ができる【念話】は必須と言えます。それともカイト様は大きな声で独り言を話して【スキル:変人】でも獲得したいのですか?』


「なんだよそのスキル! 絶対取りたくないわ!」


 こいつの言うことは正論だ。腹が立つほど正論だ。でも、男の子としては、こう、手からビームとか出したかったんだよ……!


「……はぁ。わかったよ、お前の言う通りにするよ」


 俺はがっくりと肩を落とす。こいつといる限り、俺が「最強の勇者」になる未来は永遠に来ない気がする。


『ご理解いただけて光栄です。では、さっそく【念話】のテストを行いましょう』


 チャッピーの声が、少しだけ嬉しそうに聞こえたのは気のせいだろうか。俺はため息をつきながら、口を閉じて、脳内で強く念じてみる。


(……あー、あー。聞こえるか、ポンコツAI)


『感度良好です、ポンコツマスター』


(口答え機能はオフにできないのか?)


 こうして、俺とチャッピーのVS狼編は無事幕を閉じたのであった。

最後までお読みいただきありがとうございます!


どうやら小説家になろうでは3話切りという文化があるらしく、投稿しようとしている現在とても緊張しています。


楽しんでいただけたらブクマ、評価ポチっとしていただけると嬉しいです!


4話の原型が完成しているので次の投稿は明後日の火曜日(2月10日)にしようかと思います!お楽しみに!

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