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「ロイドさんが結構なペースで狩りつくしてるせいで、最近出番ないや」
「いいことじゃないですか。今まではアリシアさんに一番負担がかかっていたので、そこが改善しています」
「言うほど負担ではなかったけどね」
「そこはメイズのギルドでの基準ということでひとつ」
適当にロイドさんに依頼を割り振る際、追加でいくつか持っていくこともあり、難しめの依頼は空っぽになっていた。これを送り込んできた王都には感謝せねばなるまい。
「まあこうなったらなったで、適当にぶらつくかエンハンス抜き差しするくらいしかやることないし」
「依頼が恋しいと。バトルジャンキーですか」
「言い得て妙だね。いや、言うほどジャンキーかな?」
「戦いというより、日常にあったドラゴンが消えたように、次は依頼自体も消えると少し物足りないという。冒険者の性みたいなものかもしれませんね」
生活にあったものが消える。出来た穴は小さなことであれ大きなことであれ、気にならずにはいられないだろう。
「あ、代わりと言っちゃなんだけど、ロイドさんからまたお誘いがあったりするんだよね」
「あれだけ魔族を狩りつくしていて時間もとれる。便利な人ですね」
「行って大丈夫かな……?」
「恐らく問題ないと思います。あれから改めて動向を確認していましたが、特に怪しい動きは見られませんでした」
普通すぎるのが逆に怪しいとも感じられるが、悪い雰囲気はしてこない。やはり何か目的があってのことだろうが、今のところは問題ない……はず。




