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「ってな感じでメイズの強い人が困惑してるんだけど、トロッポは何か知ってる?」
「え、なにそれ知らん。こわ」
「正直不気味でしょうがない。なんだあれ」
「考えられるのは認識阻害か、いや聞く限りの強さならその人がかかるとは考えにくい。となると何かしらの道具か、あるいは。それに誘拐するでもないなら普通に連れ出せば済む話だ、何か不都合があったとすればそれは何だ? そもそも武器を選びに行って身の上話を聞かせる必要もない、何のカモフラージュなのか、いやそもそもお茶は……」
アリシアさんの件をトロッポにも聞いてみたが、ハズレのようだ。
相手の能力などには思い当たるフシがないのだろうか、他のアプローチから考察をしているようだが。
ただまあ学生時代の同級生らしいし、時間が経って色々と変わっていてもおかしくない。
心当たりがなかったなら答えは出ないだろう。
「剣はこの上なく立派だったって」
「性格的に剣を渡すっていうそれが、ちゃんと目的のひとつだったのは間違いなさそう。その周りにノイズが多すぎる……」
「うーん、もうこれについては考えても仕方ないか」
「ちょっとまって、メモだけしとく。お茶、お茶、お茶……」
悪いようにはしないだろうが、一体何をメモしているんだ。
とりあえず夜ご飯にしようか。
「キリハ、お茶いこう」
「いきません、ご飯入らなくなるぞ」
「お茶いきたい……」
「今度連れてってあげるから我慢しなさい」




