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「という具合に、ロイドさんはアリシアさんの協力を必要としていました」
「ええ……。困るなあ。露払いになること自体は問題ないけど、あれと一緒に戦場に立てるかっていうと……」
「事故ですか」
「事故しそうじゃん?」
邪魔な味方は敵とまで言われたりもする。
どちらが正しいのかはわからないが、お互いの認識にズレがあるらしい。
アリシアさんの認識が間違っていなかった場合、さらなる地獄を生み出すことになるが果たして。
「あれよ、剣が伸びるとこと含めて、ほぼ手の内は明かしてないからさ。普段通り動いてたら普通にどっかで邪魔する」
「なるほど、それは……」
「なんかないかな」
「その時はいっそ普通の剣を使いましょう。あくまで雑兵の数を減らすだけなら、それで事足りませんか?」
前に王都に行ったときに不自由なくしていたし、使えないこともないはず。
「今回警戒するとしたら雑兵っていってもそれなりに強いのが来るだろうし、普通の剣だと途中で折れそうなのも不安かな」
「かといってギルドはスクロールも剣も、一般流通しているものしかストックがありません」
「なんかないかな」
「いきなり借りを作るのもアレですが、いっそロイドさんを頼ってみますか? 必要と言えば、硬い剣の一本や二本譲ってくれそうなものです」
ギルドで買い上げというのも難しいし、そもそも本職でないと剣の良し悪しはわからないだろう。
「……それが一番丸いかな。掛け合ってみる」
「備えておくに越したことはありません。よろしくお願いします」
ここまでしておいてなんだが、まだここが襲われると決まったわけではないし、そもそもここに来る確率なんてどれだけ低いんだという話でもある。
もう少し気楽にいる方がいいだろう。




