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「あれから魔王軍落ち着いてるみたいだけど」
「大攻勢を諦めて一旦手を引いてるし、その原因を解決できないことには動きづらいんじゃないの」
「あと、ここ最近のお仕事減ってるけどいいの?」
「実はこの支部にも頼れるナイスガイが来たので、トロッポさんのお仕事を流していたりする」
二人してカーペットをごろごろと転がりながら、トロッポと話す。
そういえば、トロッポにはロイドさんのこと話してなかったか。
「王都から強い人が来ててね、メイズで一番強い人もお墨付き。鎧姿で刀を使ってるロイドって人知らない?」
「ロイドロイド……。あー、たぶんそれ学生時代の同級生だ」
「へー。どんな人だった?」
「悪即斬じゃないけど、正義感に溢れた良くも悪くも暑苦しいヤツだったっけ。冒険者になる前からある程度強かったはず。まだやってたとはね」
「ここに来たときは割と静かだったけどね。あと紳士だとか聞く」
「プププー、紳士とか笑っちゃうね。まあしばらく経って丸くなったってとこか」
紳士というところ、意外と食いつきが薄い。あれでギルドでも割と人気になっているというのに。
「お気に召さない?」
「だって別に、クールビューティフォーだからって意味ないじゃん。こうして人の家でお世話されてる方がよっぽどいいし」
「花より団子ってことね」
「お団子だー」
「今日のご飯はお団子じゃありません」
なんとも食い意地の張ったやつだこと。
しかし、このトロッポのパイプは意外なところまでつながっている。改めて何者なのだろうか。




