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「キリハさん、今日も依頼下さいな!」


「こんにちは、アリシアさん。何か希望はありますか?」


「またデートしたいです!」


「ではドストル峡谷の地龍の討伐、出しておきますね」


「ちぇー」


 今日も今日とてアリシアさんである。しかし、いちいち声が大きいのはどうにかならないものか。おかげで周囲から「アレとデートしたのか?」「あいつも傷モノにされたか」みたいな話が聞こえてくる。失敬な、こちとらまだ純潔は守っているのだ。

 そうしてアリシアさんが行ったあと、微妙な顔で誰か来た。確かサラといったか。


「デートしたって……食われなかったのかい?」


「無事食われませんでしたよ。それどころか手のひらに乗せて、ころころ転がしましたのでご安心を」


「なかなかのやり手じゃないか……。まあ、これなら長続きするかな?」


「アリシアさんを除けば、環境はこの上ないですからね。てこでもこの場を動く気はありませんよ」


 というか今更だが、穏やかでない原因がわかっていながら、対処していないのもどうなのだろうか。いや、できないのはやっぱりギルド上層部のせいか。うーむ、いやそれでも……。


「そもそも職員に影響も出ているのに、アリシアさんをどうにかしなかったんですか?」


「いや、したんだがね? それとなく男冒険者が風俗紹介したり、遊びに誘ったりとか。でもどれも、やんわりお断りよ。職員へのがっつき具合と違って、冒険者に対してはすごい差があったりもね」


「あの年齢に風俗もどうかと思いますが、そこは置いておきましょう。恐らく前に聞いた、他が弱い云々は建前でしょう。今までずっとソロで動いてそうですし、他の冒険者に苦手意識でもあるのかもしれませんね。その辺どうですか?」


「あー、まあそうだね。誰かといるのは基本的に見ないね。職員へ求愛してるのも、消去法と考えれば自然か」


 なるほど。他が弱いという理由が本当であれ嘘であれ、身近にいる他の冒険者へけしかけるのは、いよいよもって絶望的ときた。

 正直どうすれば、この現状をうやむやに居座ったまま、アリシアさんからフェードアウト出来るかと。

 うーん、さすがに不浄の穴で貞操奪われたくはないなあ。


「そういうことであれば、あなた方も今以上に頑張って、プラチナまで上がってきてください。今後も彼へのしわ寄せはどうせ、巡り巡って私の所に降り注ぐので」


「うう、それを言われると耳が痛いね……」


「サラさんなんか有望株ですから、期待していますよ。まずはゴールドからですね」



 まだまだ解決の目処は立たないようだ。


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