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「いや、他の人来るとは聞いてたけどさ……」
「こちら悪魔のヴィルヘルムさんです。でこっちが居候のトロッポ」
「なんで大悪魔って先に言っといてくれないかな……!」
「そう警戒しないで、ほら」
ご飯にヴィルヘルムさんを呼んだところ、トロッポさんが頭を抱えている。やっぱりボス然りわかる人は悪魔ってだけで、こうなるのが普通なのだろうか。
「そう謙遜することはない。私から見てもかなり鍛えられているのがわかるぞ。その調子で励むといい」
「あ、ありがとうございますね……?」
「キリハも恵まれてるな、こんな才ある者が居候とは」
「色々あって拾いまして」
結局魚の煮つけにした。ご飯に罪はない。
ここは共通の知人としてこちらから話題を振るべきだろう。
「実はつい最近職場の天井を突き破ってモンスターが現れまして」
「えっ、なにそれ」
「キリハの職場はなかなか愉快らしいな」
「最近はそれの後処理で以前より忙しくなりまして。トロッポはあんま話してくれないけど、最近どうよ」
「えっと、そう、いい感じの石を拾ってきてね! あげようと思ってたのすっかり忘れてた!」
「これは……何の効果もない石だな。だがこの形、センスは悪くないな」
「ど、どうも……」
トロッポとヴィルヘルムさんも仲良くなれそうで何よりだ。