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「キリハさん珍しくお疲れみたいだね」
「アリシアさんも、お手伝いいただきありがとうございました。こちらの緩い仕事に慣れきってしまいまして。配属されてから一番働いたと思います」
「大変だったみたいで……。屋根もちゃんと塞がってるね」
「応急処置ではありますが、ちゃんと修繕できるだけの予算が出るかは少し怪しいところです」
何の前触れもなく、ギルドにモンスターが侵入するという異常事態。地上では冒険者に阻まれるところ、屋根からだったため容易な侵入を許してしまったのだろうか。
「一応現場検証なども終えまして、事件性はないと結論が出ています」
「誰かが故意に差し向けたわけではないと」
「はい。死骸と崩落した屋根を調べたところ、偶然誰にも見つからず、偶然ここの屋根を破壊して降ってきた。そういうことになりました」
「なんか犯人がいるならそれを探せばってなるけど、犯人がいないならいないで厄介だね」
個人的には犯人がいた方が嫌だ。恐らく魔法なんかだろうが、どうやって追跡するんだってなる。専門家に依頼するのにもお金が必要になる。
「自然災害みたいなもので、防ぎようがありませんからね。アリシアさんがいたことだけが、不幸中の幸いでした」
「ん? 私?」
「実はあの蜘蛛、バイトスパイダーという装甲硬めで力が強い上、戦う相手に毒を散らす、割とシンプルに強力な部類のものでして。他の冒険者だと数がいたとはいえ、少し苦戦を強いられたかもしれません」
「いや、キリハさんも大丈夫でしょ。その首のやつで強い人呼べるんでしょ?」
「そうでした。まだ慣れてないものですっかり」
そうか、今はこちらからも救援要請を出せるようになっている。保険は持っておくものだな。




