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ある辺境のギルド職員について  作者: レスカ
魔王とギルド職員
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55

「おや、アリシアさん。珍しくお困り事ですか?」


「察しが良くて助かるよ……。この人どうにかして……」


 ギルドに来てみれば、先にアリシアさんが受付に。その傍には不満気な冒険者が一人。

 いかにも新人という雰囲気だか、装備は明らかにそれに見合わないほど高価っぽい。

 なるほど貴族のボンボンだな。


「どうかされましたか? ご意見があれば、私がお聞きしますよ」


「ギルドはこんな奴を庇うのか? 冒険者はこんなギルドでだらけてる奴じゃない。勇猛果敢に戦い、平和を守る者だ。それがなんだこの体たらくは」


「彼は十二分に戦い、強大な相手を打ち倒してきた戦士です。ならば問題ないでしょう」


「そんな風には見えないがね。こんなひ弱そうな奴が、そんな大層な評価を受けているはずない。大方俺を納得させるための嘘だろう」


 メイズに人が増えれば閉鎖的ではなくなり、人が他所から入ってくれば揉め事も起こるというもの。

 しかし、最近は外に出ることはないものの、ギルドの隅で大人しくしてるアリシアさんは無縁だったのだが、ついに目をつけられてしまったというわけで。

 何かあれば外野が囃し立てるのは定番だが、一方で実情を知るメイズの冒険者は、戦々恐々と様子を窺っていた。


「その辺にしておきましょう。血の気の多い方もいるので喧嘩をするなとは言いませんが、争いを推奨しているわけでもありません」


「よっぽどこいつがお気に入りみたいだな。ならお前から父上に頼んでクビにしてもらうとー」


「今なんて?」


 アリシアさんが反応した、まずいかも。


「ようやく口を開いたか。このギルド員さえいなきゃ、お前を追い出すことなん」


「わかった、いいよ。相手してあげる。ちょうど副作用も抜けきったし、鈍った体戻さないとだし、外出よっか」


「ふんっ。ようやくその気になったか。負けたら冒険者をやめてもらうぞ!」


 立ち上がって外に出ていくアリシアさんと、それに続くボンボン。

 基本的には負の表情を滅多に出さない人だけど、今はすっごい無表情だった。

 周りの人も諦めたような表情してるし、どうなる事やら。



 一泊置いて満面の笑みで戻ってきたアリシアさんが引きずるのは、ボロ雑巾と化したボンボンだった。それを私に見せてから、アリシアさんは再びギルドを後にした。

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