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「なんか魔王に動きがあったとか聞いたけど」
「おはようございます、アリシアさん。真偽は別として、魔王が攻めるぞみたいなことを宣言したようですね。ギルドもバタバタしてますよ」
「キリハさんだけ、忙しそうには見えないんだけど」
「仕事はあるにはありますが、主にアリシアの相手がメインでしたからね。言うなれば釣り餌、マスコットのようなもので。他の皆さんに比べれば、仕事量はカスみたいなものです」
王都からこちらに来て良くなった点である。こちらに慣れすぎてしまって、もう向こうには戻れそうにない。
「そういえば魔王って、あの竜王と相打ちになったんじゃ? 生きてたのかな」
「前に調べたところ、竜王は分裂して眠りについていたものの、魔王の方は死んでいたはずです。恐らく魔族を統べるべく生まれた、次代の魔王でしょうね」
「まあ魔王っていうくらいなら、あれくらいを見た方がいいのかな……。人間側勝てるの?」
「必要とあらば、今まで隠れてたやばい人らが出てきて、加勢してくれるんじゃないですか。滅びの道を辿るのは、望みではないでしょうし」
あるいは魔王が動き出したのは、どこからか竜王の消滅を聞きつけたせいかもしれない。
だとすればメイズはかなり危険かもしれないが、同時にどうやって倒したのかの説明もつかないはず。
悪魔のことは漏らしていないため、潜む戦力を考えれば、魔王とて不用意に手を出すことはない……はず。
「まあなるようになりますよ。あれ以上の敵が来たら、恐らくどこにいても同じです」
「だね。頼れる味方が近くに入ればいいんだけど」
問題はアリシアさんが頼れるほど強い人材。これは見つからないであろうということに尽きる。




