50
「鎖?」
ドラゴンの爪が盾に触れた瞬間、ドラゴンの爪を弾き、そこから大量の青白く輝く鎖が伸びてゆき、鎖がドラゴンの爪どころか前足までがっちりと封じていた。
『鎖だと!? 何をした!!』
叫んでもがくドラゴンに対して、動く余裕も答える余裕もなく、ただぽかんと死ぬまでの時間が伸びたと思っていたが、気づけば近くに角の生えた燕尾服の人物が立っていた。
「恩人との契約により、参上したるはヴィルヘルム。以後お見知りおきを」
『貴様、あの時の悪魔か!!』
「なるほど、これは人の手に余るわけだ。行けばわかると言っていたが、彼が私を頼ったのも納得できる」
『この鎖を解放しろ!!』
「それはならない。恩人からはこれを使ったのなら、その相手を処分してほしいとも頼まれているのでな。お前には退場してもらうとしよう」
ヴィルヘルムと名乗る人物が指を鳴らせば、直後ドラゴンの周囲から鎖が巻き付き始め、足、翼、尾、胴、頭と、順に覆われては鎖ごと消滅を繰り返してゆき、最後には巨大なドラゴンは跡形も残っていなかった。
「ああ。それとこれを渡すようにも、頼まれていたのだったな」
そしてヴィルヘルムは私の傍に回復ポーションを置き、空間を割いてどこかへと消えてしまった。
「悪魔って……。なんだったんだろ」
なにひとつ理解できなかったが、体は限界なのでもらったポーションを飲む。
ともかく私は助かったのか。




