表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある辺境のギルド職員について  作者: レスカ
ドラゴンとギルド職員
48/123

48

「うーん、これはかなりまずいかな……」


 キリハさんからもらった盾を懐にしまって、私は黒を纏った竜王の元へと足を進める。

 そこまではよかったけど、近づくほどに今までの有象無象とは違うことを理解させられる。


 キリハさんに言われていたため、過剰に準備はしていたが正直侮っていた。強化用ポーションも副作用のあるとっておきを用意したし、武器も多めに仕込んできた。体調も問題ないけど、勝てるビジョンが全く見えないほどに、今までと比較しても異質なドラゴンだった。

 それでも、やれるだけはやっておくべきか。


「アークエンハンス」


 剣を強化し、ポーションを5本飲み干す。

 内訳は敏捷、魔力、筋力、耐久、加えて全能力を大幅に強化するものであり、しかし徐々に副作用が全身を蝕むせいで、表には流通していない代物だが、この際文句は言っていられない。

 ポーションが体へと回るほどに、血液が沸騰するほど熱く感じるが、一方全能力強化ポーションにより思考は冷静に冴えわたり、いつも以上に予測や思考が回せるようになっていた。

 これならあるいは。


「マジックエンハンス」

「アークスプリント」

「アークプロテクト」

「グラビティストック」

「エアプレート」

「リロード」


 強化魔法を追加してから走り始める。


 まずは奴に気取られないよう大回りに右後方の死角へと入り、一気に距離を詰めて剣を胴に振るう。

 しかし、装甲を削ぐように振るった剣を通すことはなく、次の瞬間には眼前に尾の一振りが迫っていた。

 ストックしていた重力球を用いて、自らを上空へ跳ね飛ばし、これを回避する。


「手ごたえ無し、剥がすのは無理か」


 空中で無防備になった私を見逃すはずもなく、ドラゴンはこちらを向いて黒いブレスを放ってくるが、エアプレートで空を蹴りつけ方向転換し回避、その先でも素早くプレートを渡って、陣取るはドラゴンの頭上。

 剣を最大の長さまで解放し、狙いを目に定める。


「グラビティ!」


 重力魔法で加速しながらの一撃は目の位置を捉えたが、剣は閉じられた瞼により弾かれた。

 もちろん私が体勢を崩した隙をついて、噛み殺さんと大顎が迫る。


「エクスプロード!」


 これには咄嗟に爆発魔法を使い、爆風でその場を離脱。剣を縮めて体勢を立て直し、ドラゴンの正面に降り立つ。

 至近距離で爆発を受けたためかなりきついが、噛み殺されるよかマシではある。


『我の攻撃をこうも避けるとは、貴様。人間にしては普通じゃないな、何者だ』


「通りすがりのドラゴンスレイヤー、かな。まあ今回は、こっちがスレイヤーされる側みたいだけど」


『力量の差も把握しているようだな、その上で我に挑むか』


「どうあれ戦わないと、末路は同じだしね」


 改めて周囲を見渡すが、利用できそうな岩や木はない。

 仕方なしに加速してドラゴンの懐へ飛び込み、補足されないよう回避に徹しながら、足や翼の間を走り抜け、改めて観察してみるものの、弱点らしい弱点は見当たらない。ドラゴンにあるはずの逆鱗も、どういうわけかその姿がなかった。


「フラッシュ!!」


 ドラゴンの眼前に強烈な光魔法を放ち、目をつぶす。

 動きが鈍ったそこに、再度展開した剣を尾に巻きつけて、一気に引き切ってみるものの、やはり尾が切り落とされることはなかった。


「反則でしょうよ、攻撃が通らないって言うのは……」


 この調子だと、他にいろいろ用意してきた武器も意味をなさないだろう。

 一体活路はどこにあるのやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ