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「キリハさん! 外見た!?」
「はい、空が暗く青紫に染まっていましたね。雷まで鳴っています、その時が来てしまったようです」
「太祖の竜王だっけね。魔王にも匹敵するドラゴンの親玉」
「300のドラゴンが倒れ、ついにそれが復活したわけです。アリシアさんが出ていない朝からの状況、恐らく最後はアリシアさんではない人が倒したのでしょう」
改めてアリシアさんと一緒にギルドの外に出て見れば、少し離れた平原に咆哮を轟かせる、漆黒に染まった竜王の姿が見えた。
それは遠目からでも、前に現れたドラゴンロードよりも強いことが本能的に理解できた。
「私も何もせず、手をこまねいていたわけではありません。王都で色々と調べてくると同時に、アリシアさんのため役立ちそうなものを用意してきました。これを持って行ってください」
「何この持ち手……ハンドル?」
「時間だけは有り余ってますからね。前に自分用に作ってた防壁を小型にしたもので、ハンドルのボタンを押してる間だけ収納されている盾を展開できるようになってます」
「いや、まあ気持ちはありがたいけど。これじゃあ役者不足な気はするなあ……」
微妙な表情をしつつ、アリシアさんが四角いハンドルのボタンを押すと、カシャンと小気味良い音を立てて丸い盾が開かれる。
「侮ることなかれ、ですよ。実はそれ王都で仕込みをしてありまして、どんな攻撃でも一度だけ防げるようになっています」
「一度だけ?」
「一度だけです。ですから、どうしても避けられないとか、致命傷になってしまうような攻撃に対して、これらを受ける際に使ってください。奥の手ですから、もう後がないという時に」
「あんまりに強い攻撃だと、破られるとかは」
「私の知る限り、一番強いものを仕込んできました。使わないに越したことはないですが、破られることもまずないでしょう」
あとはアリシアさん次第である。やれるだけのことはやってきた、恐らく問題はないと思うが……。
「それではご武運を」
「うん、できる限りは頑張ってくるね」
前回から学んだので近づくことはなく、アリシアさんが竜王に向けて歩いていくのを見送るのみ。
さて、次は……。




