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「キリハさ~ん、ドラゴ~ン」
「はいはい、私はドラゴンじゃありませんよ」
「どういうこと?」
「完全に先生をトイレ呼ばわりする子供のそれだったので」
今日も今日とて、のんびりと現れたアリシアさん。
しかし、こちらにあるのは悪い知らせであった。
「アリシアさん、一応警戒しておいてください。太祖の竜王がもうそろそろ復活する頃です」
「そりゃまたいきなりだね。って、なんでわかるの?」
「アリシアさんの討伐履歴を確認しました。履歴にないものや、アリシアさん以外で倒したドラゴンで、誤差こそあるでしょうが、誤差をも考慮するといつ現れてもおかしくない状況です。聞いたところ太祖の竜王復活までは、300のドラゴンを倒す必要がありますが、それが目前に迫っています」
「そっかあ、300近くも倒してたのか。やってる身としてはすっかりだなあ」
「調べれば調べるほどに、その存在はアリシアさんをも遥かに上回るものだと思いました。今までとは違います。万全の状態を整えていただければと」
「キリハさん心配してくれてるの? 珍しいじゃん」
「相手が相手です。無事では済まなそうですからね、今回ばかりは何でもする覚悟で、私も手伝いをしますよ」
いつものごとく、アリシアさんが破れたらメイズが滅ぶというのもあるし、付き合いも長くなってきたアリシアさんだけに頑張ってもらうというのも、やはり申し訳ない。
「でも身代わりとか、そういう無謀なことはしないでね。お互いに生きて終われるのがベストだからさ」
「承知しています。さて、そんな中でもドラゴンは止まってくれることもなく、今日はボルケイノドラゴンがデストラ岬に発生しています。こちらもひとつ、よろしくお願いしますね」
「わかった。いってくるね~」
「いってらっしゃいませ~」
そんな中でも、硬くなりすぎないことも重要かもしれない。緊張はコンディションに影響が出ない程度にね。




