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「へぇ〜。さすが王都、人が多いね」
「まあメイズは田舎も田舎ですから。行きましょうか」
「まってー」
今日は偶然ドラゴンもなく、勇者選定の開催日だったため、アリシアさんと勇者選定の儀を見に来た。
特に目的があってのことではないが、今回はアリシアさんと一緒であり、何か収穫があるといいなとは思っている。
既に催しは開始されており、会場は熱気と歓声に包まれていた。バトル場をぐるっと囲うような客席がこれでもかと沸いている。
「あー、見たとこメイズよりはレベル高めかな?」
「そうですね、仮にも勇者選定を謳ってますから。必要最低限というやつです。ところでアリシアさん的に、気になる出場者とかいましたか? 正直私にはさっぱりですけど」
「特にいないかな。光るものはあるけど、ドラゴンを倒せるかっていうと怪しいし、勇者ってなんかもっと無双の存在かと思ってた」
「そういう一部の上澄みであれば、そもそもこういう場に来なさそうなのもありますし。僻地にでも行ってみれば、修行してるようなのが見つかるかもしれません」
常日頃からドラゴンを相手にしているアリシアさんであれば、普通のものさしで測ることは難しいだろう。それでも戦いを知らないギルド職員から見たこの場の戦いは、それに引けを取らないような白熱したものにも見える。
「むー、キリハさんなんか楽し気じゃない?」
「普段と同じですけど、そう見えますかね……。こういう機会でもないと、安全に戦いを見ることってないせいか、どこかわくわくしているのかもしれません」
「ふーん。あ、決勝っていつ?」
「決勝はお昼の後ですね。まだしばらく時間はありそうですよ」
上の方の戦いにしか興味はないのか、アリシアさんは私の隣を離れてどこかへ行ってしまった。
しかし、アリシアさんはメイズに留まってドラゴン狩りをしている以上、王都に来る機会もあまりないのだし、散策をするのも楽しみにはなるだろう。




