表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/80

3

 

 さて、メイズに来てからある程度経過したが、やはり唯一の男性窓口はガラガラである。

 その代わりと言ってはなんだが、空いてる時間でギルドを彩る飾りを作っていたり、内職をしていたりもする。メイズ式に慣れてくると対応もすぐ終わるため、余裕が生まれているのだろう。

 と、今日も来たようだ。


「今日もかっこいいおにーさん、素敵な依頼をくださいな!」


「こんにちは、アリシアさん。何か希望はありますか?」


「報酬がおにーさんの依頼とかないかなー」


「ないので、ジャンブルドラゴンの討伐出しときますね、目的地はジャンブル高原です。特徴的な角、あるいは首を証明として、持ち帰ってきてください」


 アリシアさん。彼は少し変わっていて、依頼選びを全てこちらに任せてくる。プラチナであるせいか、厄介なのはこちらに流れてくるようになっている、あと普段は何故か頻繁に湧く竜狩りをしてもらっている。


「はいはーい、おまかせー。ところでさ、こんなに頑張ってるのに、いってらっしゃいのキスもないの?」


「キスはないですが、クッキーならあります。軽食としてどうぞ」


「やった! ありがとねー」


「ご武運をー」


 クッキーの詰め合わせを片手に、上機嫌でもう片方の手を振りながら出ていくアリシアさん。こんな具合に飲みや誘いは躱している。

「まーたやってるよ」「いつまで持つのかねぇ」などと他の冒険者に囁かれているが、余程のことがない限りここを辞めるつもりは毛頭ない。

 一時はどうなるかと思ったが、確か男の娘と言うんだったか。プラチナさんことアリシアさんを除けば、ただ暇なだけの快適職場である。

 生活については王都と比べて少し不便ではあるが、それを補ってなお余りある職場環境。既に根を張ることすら考えている。

 と、続いてヘレーナさんも来た。二日目以来か。


「キリハさん。少し経ちましたがどうですか、メイズ支部は」


「はい、慣れてきましたし本部と比べても、特に不自由はありません。うまくやっていけそうです」


「それはよかったです。ところであの地雷については……」


「プラチナさんについては、極力触らないようにしてます。お誘いには乗らず、話題を逸らし、なんやかんや丸め込んでいます」


「まだ毒牙にかかっていないのは、喜ばしいことです」


「うーん、素直に喜べない」


 毒牙にかかることを前提として、話しているせいだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
男の娘に絡まれるホワイト職場。 なんだか楽園で羨ましいですね〜。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ