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「何よ! こんな地にミスリル級は必要ない、もっと他にオーガ討伐など仕事があるだろう、よ! こっちはドラゴンよドラゴン!」
「へレーナさん落ち着いてください、あと飲み過ぎです」
……まあ、あれだ。案の定というかなんと言うか、予想通りこちらの上申は見事に弾かれたのだ。元本部務めの勘は伊達ではなかったようだ。
そして自信満々て挑んでブチ折られた結果、ストレイの酒場で酒に溺れてるメイズのトップである。さっきから似たようなことしか言ってないし、うーんひどい。
「はあー 終わってんでしょあの腐れジジイ共!! 保身と功績しか考えてないし? 終わってんだろお!!!!」
「うわあ、大声出さないで。どうどう」
「ふぁーーーーーーっ!!!!」
「気持ちはわかりましたから。ほら、他の人にも迷惑でしょう」
現状あんたも終わってるだろと言ってやりたいが、そこはなんとか飲み込んでなだめる。いつもパリッとキチキチ働いてるのに、酒が入った途端これである。なんでこう、クセが強いのしかいないんだ……。
「だったらおめえらがっ!! ドラゴンでもオーガでも何でもかってこいってんでええええ!!!!」
「あーほら続きは部屋で飲みましょ、ほらもう行きますよ。お口チャックです」
「うぼああぁああああ!! りゃああああああああ!!」
よっぽど不満なのだろう、担いで宿まで戻るがその途中も、お口チャックどころかフルスロットルである。ああもう、叫びたいのはこっちだって。
なんとかうるさい荷物を部屋まで担ぎ込んで、ベッドに転がしてやる。どうしてこうなった。
「もう寝ちゃってください、明日は起きたらメイズに戻りますよ」
「おんどりゃあああああ!!!!」
「うぇっ!?」
それはベッドに転がした奇声をあげる荷物だったが、急に掴みかかってきた。咄嗟に手首を掴んで止めるがなんだこれ、普通に強い。意外なことに結構力が強い、押し負ける。まて、まって、このままだと……。
押し返されて、まずは噛み付かれたのだった。そして噛み付かれ、さらに噛み付かれていった……。




