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ある辺境のギルド職員について  作者: レスカ
ドラゴンとギルド職員
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「キリハさーん、依頼ありますか?」


「アリシアさん、おはようございます。今日はマール盆地に双頭竜が湧いてます。こちらをどうぞ」


 以前にドラゴンを狩り尽くしたとはいえ、湧かなくなっているということでも無く、湧いたら狩ってもらう必要があるのだ。


「それじゃいってきまーす」


 依頼書をひらひら振りながら出ていくアリシアさん。さてと、それよか今日のメインイベントは他にあるのだ。


「キリハさん、準備は出来ていますか?」


「はい。アリシアさんも送り出しましたし、問題なく」


「それでは行きますか、ギルド会合に」


 ギルド会合。それは各地のギルドの代表を集めて近況報告や意見を出し合うことで、より冒険者ギルドの発展に務める集まりである。

 ちょうど時期が近かったので、メイズにもミスリルを要求するべく、へレーナさんと向かうことになったのだ。

 会合は王都以外の支部をランダムに選び、その地で行われることになる。つまりギルドによっては遠すぎる場合などがあるため、参加は任意となっている。

 今回は都合よく、隣街のストレイ支部が選ばれている。馬車で移動して会合、そのまま泊まって明日には戻れるという、超ソフトスケジュールである。


「とはいえ、まあ無理でしょうけどね」


「キリハさん、諦めるのが早すぎです」


「そういうへレーナさんはやけにやる気ですね。ついこの間まで、我関せずみたいな態度だったはずですけど」


「実際に危機を目の当たりにして、目が覚めました。心境の変化でしょうか……」


 例のギルドまで迫ったドラゴンは、少なからず意識改革をもたらしていたようだ。吹けば飛ぶし、現状がおかしいことに気がついたようで何より。

 ただそれとは別に、手を抜くつもりはもちろんないが上層部は利益の追求しか考えてないから、こんな田舎にミスリルをくれることもないだろう。少しの間アリシアさんと遠出して、ドラゴン大量発生にすれば嫌でも異常性に気がつくだろうが、それではメイズが滅びかねない。

 これは巧妙に街を人質にとった、ギルド上層部からの脅しなのだ。

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