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「キリハさん、身体はもう大丈夫ですか?」
「ええ、なんとか一命は取り留めまして。この通り回復もしました」
「急に泡吹いて倒れるものですから、驚きました」
「自分は一般人で、いつでも吹けば飛ぶってことは、常に意識してたはずなんですけどね……」
なんとか回復して、ギルドまで出てきたのを迎えたのはへレーナさん。長く休んでしまい、この人にも苦労を掛けただろうか。いや、ほぼアリシアさん専属だから、別にいなくてもそう変わらんか。
「あ、ところでアリシアさんは。今にもどこからか現れそうなものですが」
「彼はメイズ周辺のドラゴンを、手当り次第狩って回ってます」
「ええ……」
「今回の件が相当効いたようですね」
治療院ではああ言ったものの、結局前に出すぎなければよかっただけで、責任の一端はアリシアさんにもあるやもしれない。可能な限りリスクを減らそうという配慮だろうか。
「愛されてる限りで、羨ましいですね」
「他人事だからと面白がって……。メイズもこれで異常な平和を保ってますけど、やっぱりギルド上層部は動くつもりないんですか?」
「よっぽどのことがない限りは、動くことはないでしょう。私個人としてそうは考えていませんが、どこも組織というのは利益の追求に忙しいようで。シワ寄せが来るのは末端です」
「まあ、辺鄙な田舎って扱いですよね。ところがどっこい」
復帰まで休んでる間時間はあったので、いい機会だと今までのアリシアさんの活動を、王都で勤めてた際の冒険者の実績と照らし合わせてみた。
その結果わかったことは、恐らくメイズが陥落、あるいはアリシアさんが何処かへ行っていたり戦わなかった場合、馬鹿にならない被害が出るということだった。王都から離れているため、他に自信を持って出せる戦力があるかと聞かれると、かなり怪しい。
「この近辺のドラゴンについても調べてみましたが、あれらがアリシアさんに駆除されていない場合、結構な地獄絵図になるはずです」
「なんとなくで任せてしまっていましたが、そこまででしたか……」
「先日のドラゴンロードについては別として、普段から湧いてたドラゴンでもある程度強いようで、1匹ならまだしもかなりの頻度で湧いています。すぐに疲弊して滅ぼされますよ」
「臭いものに蓋ではありませんが、目を背けていた結果ですね。わかりました。何時でもアリシアさんが動けるとは限りませんから、私からも改めて打診はしてみます」
「ぜひお願いします。資料作成くらいなら手伝いますから」
へレーナさんもドラゴンを間近にして、アリシアさんの重要性に気づいたのだろう。とにかくほかにミスリルを引き込まねば。




