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ある辺境のギルド職員について  作者: レスカ
ドラゴンとギルド職員
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21

 

「知らない天井だ」


 目を覚ますと、そこはどこかのベッドの上だった。身体を起こすと多少ふらつくが、それもすぐになくなる。

 なぜ知らない場所にいるのか。ええと、最後の記憶は……。そう、ドラゴン。あれにやられたんだっけか。あの場で倒れたギルド員が無事生きてるあたり、アリシアさんが八つ裂きにでもしたのだろう。

 ドラゴンもいなくなり、死にそうなほど影響を受けた体も、なんとか持ち直している。少し腕を振ったりしていると、職員らしき人が通りかかる。


「あ、キリハさん。目覚められましたか」


「えっと、ここはどこですか」


「メイズの治療院です、来られたのは初めてですか?」


「初めてです」


 なるほど治療院だったか。基本的にギルド員とは縁のない場所ゆえ、わからないのも当然か。


「見たところ顔色も問題なさそうではありますが、運び込まれた際はかなり危ない状態でした。経過観察も兼ねて、あと数日はこちらで、様子を見つつ過ごしてもらいます」


「わかりました」


「それと、少々お待ちを」


 最低限言い残して、どこかへと言ってしまう。聞きたいことは色々あるが、まあ目覚めたばかりだ。ゆっくりするとしよう。

 と思った矢先にアリシアさんである。さっきの人が呼んできたのだろう。


「目覚めたんだね! よかったああ!!」


「お陰様で、一命は取り留めたみたいです」


 ぎゅーと泣きついてくるが、かなり心配をかけただろう。ここは泣き止むまで待つことに。

 そうしてしばらくしてから。


「え、私五日間も寝てたんですか」


「一日経ったら起きるかと思ってたから、三日を超えてもう無理かと……」


「やっぱり高ランク冒険者でもない限り、命ってあっけないですね。何もされてないのに死にかけるとか、今回のことで身に染みました」


 何もせずに殺せるってなったら、そりゃあ冒険者が遠巻きに囲んでたのも納得である。そんな相手にのこのこと近づいたマヌケというわけで。


「いや、今回はキリハさんの体調まで気を配れずに、ドラゴンに連れ出した私のせい。ごめんなさい」


「まあ酷い目にはあいましたが、そもそもアリシアさんがいなければ、あの場で皆殺しでしたし。なんとか生きてれる点に、感謝すらしてますよ」


 偶然あの日に限って朝早く来ない、なんてことがあれば人里に降りてきたドラゴンロードとやらに、言う通りに滅ぼされていたはず。

 ゆえにこそ。


「同じようなことさえなければいいです、謝る代わりに、自分を責める代わりに、これからも力をお貸しいただければ。なーんて」


「ありがと……」


 生きていたのだ、これ以上言うことは無いだろう。今回は死にかけこそしたが、なんだかんだいいつつも、王都にいた頃よりも楽しく過ごせている。

 結果としてここに流されたのは、すごいいいことだったのかもしれなかった。


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