18
「キリハ、今日はリードから連絡があるわ。連絡役として残されたのはこれが目的だっけね」
「おや、意外と早いですね……。上手くいってませんように」
朝イチでリュミが来た。王都に連れ戻せると、欠片も信じて疑っていない。たぶん無理だろうが万一もある、怖い。と、そこに。
「キリハさん! 依頼くださいな!」
「残念ね、キリハはこれから王都に向かうのよ。リードの報告が終わってからね!」
「うわあ、朝から元気だねぇ。それ本当?」
「まだ未定です。とりあえず、報告を聞きましょうか」
リュミが手早く連絡用の魔法を使うと、手元にリードの映る映像が映し出された。なんでも向こうとは、リアルタイムで繋がってるそうな。アリシアさんとそれを覗き込む。
「おお、この距離でも繋がったか。なかなか便利なもんだな」
「リード、交渉の結果は?」
「なぜか無理だった……なんでだろうな」
「は?」
「幹部連中に掛け合ったが、あれだけ粘ってダメだったんだ。本人も乗り気じゃないのに、無理強いするもんじゃないってことかね。こっちはこっちでなんとかやってみるとするさ」
「いや、何言ってんのよ」
「お前も帰還魔法で回収するから安心しろ、なんか迷惑かけて悪かったなキリハ。達者でやれよ!」
「ちょ、まっ!」
その会話を最後に、足元に現れた魔法陣の放つ光に吸い込まれ、慌てるリュミは無事王都へと飛ばされた。よし、面倒事が片付いた。
「さて、今日の依頼ですが、近場にストームドラゴンがありますよ。なんでも、嵐を引き連れて現れるとか」
「いやまあ、あれが帰ったのはよかったんだけどさ。……もうちょっとなんかないの?」
「なにもありませんよ。強いて挙げるとするなら、私の前での争いがなくなったのはいいことです」
「まあそれもそっか。いってきまーす」
今日も元気に依頼書をひっつかみ、ご機嫌にギルドを出ていくアリシアさん。何事も平和が一番である。




