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「キリハさーん、依頼くださいな!」
「少々お待ちを。ええと、今回はバラド火山の溶岩龍が出てますね」
「えっ、バラド火山って遠いし、メイズの管轄外じゃない?」
「アリシアさんの名声も、竜狩りとして少しは高まっているのでしょう。火山の担当支部ギルドからの依頼ですよ。強制ではないので、蹴っても問題は無いです」
王都なんかは、名声の高い名だたるミスリルが数多く活動しており、プラチナも相当数いたため、別ギルドからの要請も日常的だったが、こっちに来てからはすっかりであった。
「じゃあ遠いしいいや。あと遠出の間にドラゴン出たら、メイズ滅んじゃうし」
「あー……。すっかり失念してました、今後はアリシアさんへの依頼は全部蹴っておかないと……」
「そんなお茶目さんなとこもすき♡」
「いや、アリシアさん出したが最後、私も無事じゃ済まないからですよ」
平凡で特徴がない田舎。に見せかけた、異常な頻度で竜種の出没する呪われた地、それがここメイズである。アリシアさんが来る前はどうなっていたのやら。
「え、ここに来た時はどうなってたかって? 何匹かの竜とか龍とかドラゴンがいがみ合ってて、その中央にメイズ。互いに牽制しあってて、上手いこと均衡保ってたよ」
「思考を読まないでください……。どうやって収拾つけたんですか」
「そらもう、等しくすぱぱーっと狩り尽くして終わりっ!」
「簡単に言ってくれますね……」
「っていう功績から、一気にプラチナになったんだよね。特例だって」
そりゃあ、何処からか彗星のように現れて、街を滅亡の危機から救った功績ともなれば納得である。好き放題しても許されていたのは、この壮絶な背景に加えて、竜が湧き続ける事情ゆえだろう。
「下手な魔物も寄ってこないし、ドラゴンは狩り尽くせるから、実は安住の地だよ? 永住しよ?」
「まあ、検討しておきます」
実際悪くないと思える条件である。




