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「キリハさん、依頼くださいな」
「相変わらず仕事が早いですね、助かります」
今日はリュミとバッティングせず、アリシアさんが来た。いや、リュミは他の街のレイドに送ったせいで、まだ戻れてないだけか。
「えっと依頼は……。うーん、少し前にミスリルに色々振ってたからか、厄介なのは今のとこはないですね」
「いつも竜狩りしてたけど、竜種も出てない?」
「竜もないですね、前回の堅竜が最新のでした」
なんやかんやで、大体竜狩りに出向き続けていたもので、竜がいない場合は、ほかの厄介な依頼をしてもらうと。なので、ここは再びフリータイムだろうか。
「ちょうどいないことだし、あのリュミって人について教えてよ。キリハさんのこと好きなんでしょ?」
「まあ、ああも露骨だと気づかれるのも当然ですね。彼女はなぜか思い出を元に、私を好きになってるみたいで」
「武器屋の前で告白して、断られてたって噂もあったけど」
「スキャンダラスですねぇ」
「まるで他人事……。私としては好都合だけどさ」
別に冒険者は偶像でもなんでもなく、自由恋愛である。が、ミスリルともなると特別視される存在ではあるため、多少気を使うことにはなる。
しかし、あくまで周囲の評価というだけなので、実力さえあれば周囲の冷めた目も気にならないだろうが。
「実績のあるマスターとかならまだしも、平ギルド員が相手となるとね」
「私の好きな人を悪く言わないでほしいな……」
「悪く言うもなにも、自分のことを微妙って、客観的に評価してるだけなんですけどね」
そもそもの問題点をクリアしないことには、上手いこと着地出来なそうである。
1つ目が今まで接点が少なかったせいで、こっちが別に好きではないという点、2つ目がリュミは一方的になぜかこちらを好いていて差がある点、一歩間違えれば初期のアリシアさんよろしく、拉致られる可能性すらある点である。
「と、ところでさ、あれと別に付き合う気はないんだよね?」
「最初こそいきなり過ぎて断ってしまいましたが、リュミさんかなり優良物件ではあるんですよね」
「うえっ!?」
「しかしその前に、私がリュミさんを好きになれたとしても、あちらは王都のミスリルです。恋人になったとして、嫉妬ややっかみを盛大に受けそうというのと、恐らくクソ忙しい王都ギルド所属に戻されます。このあたりが非常に悩ましいです」
「そうだよね、だからこっちで私とゆっくりしてよ?」
「まだ悩み中なので、そう思うなら引き止めてくださいね」
ミスリルの恋人となれば、収入的には働く必要もないかもしれないが、ギルド員を辞めた上で愛想を尽かされたら終わりである。しかし続ける上では、王都勤務に戻されることが目に見えている。
リュミならなんやかんや丸め込んで、このあたりの条件も飲める程度にクリアしてきそうではあるが。




