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「キリハさん! 依頼くださいな!」
「キリハ、今日も来たわって、またあなたね……」
私の元に同時に来るや否やアリシアさんを睨めつけるリュミ、それに反応してアリシアさんはカウンターを乗り越えてきて、そのまましがみつかれた。あれ、前に説明したはずじゃ……?
「なっ……この女狐……!」
「やー、ミスリルさんこわーい」
あ、これ怖がってないわ。確信犯だわ、リュミが僕に好意を持ってるのを知って煽ってるわ。ある種の意趣返しだわこれ。あんまり煽るなと言いたいとこだが、今までされてきた分は大目に見よう。
「はいはい、二人ともそれぞれ依頼出しますから。アリシアさんはラッソ森林の堅竜討伐、リュミさんはふたつ先の街でのレイドです」
「なんか扱いが雑な気がするんですけど……」
「いがみ合うようなら面倒なので、早めに行ってもらいたいだけです。他の方にも迷惑ですしね」
「はーい、それじゃ行ってきまーす」
リュミが扱いに不満を漏らす一方、アリシアさんは依頼書をひっつかみ、カウンターを乗り越えて出ていった。たすかる。
「特に何があるでもないですが、とりあえず行ってもらえますか。仮にもミスリルでしょう、外面もあるはずです」
「あ、はい」
ぱっぱと追い払う。うーん、アリシアさんが大丈夫になったらなったで、余計に厄介になってる気しかしないのはなぜだろうか。心労は増えるばかりである。




