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「キリハさーん、戻ったよー」
「珍しく戻るまでに期間が空きましたね。何をしていたのか聞いても?」
「実は王都まで行ってたんだよね」
「えっ」
王都というと、今世間を騒がせている魔王関連だろうか。しかし、アリシアさんが個人的に出向く用事も、特にないように思えるが。
「まあ王都というか、ギルドの本部までね。キリハさんを引き戻すのをやめるよう交渉してきた」
「ああ、リードの言っていた件ですね。結果はどうでしたか?」
「そりゃもちろん、ちゃーんと諦めさせてきたよ!」
「なんと頼もしい……。これがプラチナ冒険者……」
どんな手を使ったのかは知らないが、まさかリードの覆した判断をさらに覆すとは……。元よりリードの申し出には乗り気でなかったであろうことを考えると、幾分かやりやすかったのかもしれないが。
「竜王を退治したのはキリハさんの采配によるものであると、また魔王の出現を予知して退却をさせたのもキリハさんによるものだーって、適当な資料とプラチナのプレートと合わせて持ち込んだんだよね。メイズが他より明確に目をつけられてるのと、もし襲われた場合メイズだけで被害を押しとどめるべく必要な人だって。実際問題を退けてるから信じてくれたよ」
「う、嘘八百……」
「例の悪魔を引っ張ってきたのはキリハさんだし、魔王の件も私を遠出の依頼に出したから遭遇したわけだし、あながち嘘でもないと思うけどね」
「そういうもんですかね」
真相は本部としても戻したくないというところに、渡りに船と言わんばかりの持ち込みプレゼンが舞い込んだことで、じゃあ相乗りしてしまおうみたいなとこだろう。
だがあのまま何もなければ、王都に戻されていたことを考えれば、アリシアさんには感謝しかない。
「わざわざ王都まで出向いてくださり、対応まで含めありがとうございます」
「いいって。キリハさんに残ってほしいって、個人的な理由で動いただけだから気にしないで」
「しかしこうも突然働きがなかったことになるとは、リードも思いもしないでしょうね」
「だね。ほんと余計なことしてくれちゃって」
本人はいいと言っているが、感謝は感謝だ。いずれ何か用意しておこう。




