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基本的に短め
「はー、やってられんわぁ」
ぼやきながらもたどり着いた新しい職場は、今までの王都の石造りと違い、田舎の木造のギルド支部であった。
そう、諸々の事情により上層部の不正を糾弾した結果、左遷されたのだ。正直者は馬鹿を見るとは、よく言ったものである。しかし、首を切られていないだけマシだと思うべきか。
「まあ、起こったことは仕方なし。今は今後のことだけ考えよう」
冒険者ギルドに入れば、祝日であるためか人はまばらであったが、少なくない視線が向けられるのを感じる。
こういうとこで、冒険者登録に来た人なら絡まれるだろうが、ギルド職員の制服のためそんなこともない。真っ直ぐ受付に向かえば、話を聞いているであろう一人の受付嬢が手招きしていた。
「はじめまして、貴方が本部から転属になったキリハさんですね? ようこそ、冒険者ギルドのメイズ支部へ。私はヘレーナといいます」
「これはご丁寧にどうも、本日からこちらでお世話になります、キリハです。本部との勝手の違いにより、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、できるだけ早く慣れるように頑張ります」
ヘレーナさんから差し出された手を握り返せば、心なしか周囲の視線が強くなったような。この人は美人で人気があるわけか。面倒ごとは勘弁だ、早いとこロビーを抜けてしまおう。
「では早速ですが、仕事などの諸々について、案内してもらってもいいですか?」
「わかりました、奥で説明しますのでついてきてください」
受付カウンターを抜けて奥の部屋へ通され、そこでメイズ支部での仕事についての説明を受けたのだった。
初日ということで、説明のあとで実際に対応しているのを観察したり、道具の場所の確認などを済ませ、職員としての対応は翌日からとなった。
たまに長くなるかも