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賢者レアの復活  作者: huwanyan
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念願叶って

世界は400年前の黄金期を復活させ、美しい楽園となった。レア達はついに隠居する事になった。


「はぁ……良いわねぇ……」

「本当〜!好きな事だけできるものね〜」

「それで研究や戦闘訓練っていう、世間的には仕事と言われる事をしている辺り、俺達も大概だよな」


レアは魔法陣を起動させながら、アンリは暇つぶしに捕まえたモンスターの魔力を死なない程度に吸い上げて痛ぶりながら、ケンは筋トレをしながら、それぞれ思い思いに過ごしていた。レア達の所には時々国家の重鎮が秘密裏に来訪したりもしているが、基本的には暇である。食べて寝てを繰り返せば太るだけだし、不老不死でありながらボケそうだ。そこでたまに神殿のある海中や『賢者の森』、王国や帝国の適当な森にいるモンスターを討伐したり、未だ解明されていない事象の研究を行なっている。何しろピンキーの里もまだ復活しておらず、邪神と魔王の強さの違い、この世界そのものについても研究対象となっている。その研究はレアを中心として行なっている。


「結局、邪神は神族としてそこそこの力を持っていたけど、創造神が生み出した神族の中ではかなり弱かったのね」

「創造神曰く〜、実験に失敗した神族らしいわね〜」

「それが結局は暴走したわけだが、まさか魔素ばっかり多くて実際の戦闘技術は俺たちよりも弱いとはな」

『僕だってまさかハリボテみたいな奴が生まれるとは思わなかったんだよ……しかも性格までハリボテだったし』


レア達のなかでも最年少とおぼしき、童顔の僕っ娘が口を尖らせて言う。短い髪は黒で、大きな目は少し茶色みがかっている。

この子は創造神として転移していた元地球人。この世界にはそもそも創造神はいたのだが、発展し過ぎた文明の暴走で世界が崩壊し、創造神の身を基礎として復活させた世界なのだ。そして産み出すと同時に、たまたま知り合いだった地球の神の一柱である日本の最高神に頼み、創造神を担う人材を派遣してもらったのだ。それが彼女、サチなのである。そもそもサチは日本では女子高校バスケで日本一をとったチームの主将を任され、その上で科学を得意として名門校を目指すほどの才女。リセットされた世界を再開発するにはもってこいの人材だったのだ。

ラノベ好きのサチはこの状況に嬉々として受け入れ研究を開始。まずは世界の開発を行うための人材を産み出す事にした。何しろ以前の世界は創造神以外の神はいなかった。全てを一人で行っていたのが、暴走を事前に止められなかった理由の一つでもある。自分の分身体を作り、そこに精霊を入れる事で新たな神族を産み出す。世界を管理するに当たって急務だったのは魔法に詳しい存在だ。この世界の精霊なら色々と詳しいだろうと考え、世界の崩壊の時に何とか生き残った精霊王に協力を要請し、知識豊富な精霊を召喚してもらったのだ。

まず最初に産み出したのは魔法神だった。創造神の身を使って作った世界とはいえ、一度は暴走した世界だ。世界の魔素を司る龍脈を暴走させないための対策も必要だ。そこで龍脈鉱を打ち込む事で魔素を制御する事にしたのだ。また魔法神が龍脈鉱を打ち込むと、鉱石から神獣が生まれて龍脈の管理を巻かせられるとアドバイスがあったため、それを採用することにしたのだ。

龍脈から生まれたのは龍だった。そしてレアもさすがに知らなかった話だが、龍の谷を治める龍人の祖である龍神が龍脈神獣だったのだ。そりゃあ神域にかくまうと言うものだ。

そして神族や神獣を産み出すのが楽しくなってしまい、生命神を産み出しどんどん神獣を産み出していったのだ。そして神族も増やしていき、神族12柱と神獣12柱を産み出したのだ。

世界が安定し順調に回ってくると、今度は暇になってきた。地上の管理は人間達や獣人達、臣従の産み出した種族達で何とかなる。そうすると神々はやることがなくなるのだ。自分も創造神ではあるが、この世界の魔法に関してはとんと無知だ。そこで魔法神とともに様々な実験を繰り返し、そして産み出したのが邪神の元となった神族だった。


『そもそもの実験内容は『神は魔素をどれだけ内包できるか』だったんだ。いくら神様って言ったたって、許容限界ってものがあるだろうし。で、可能な限り最大限の魔素を受け入れさせたのがあの子って訳』

「で、それが暴走しちゃったと」

「暴走の原因は分かってるのか?」

『色々あったみたいだけど、一番大きかったのが戦の神との喧嘩みたいでね』


喧嘩とは言いながら、その内容は流石に神同士だけあってその規模は凄まじいの一言。邪神も一応は神の一柱だ。しかも魔素量だけで言えば魔法神より上。起こす被害は甚大だ。しかし技術が伴っていないのと、元来穏やかで平和主義の子だったため、戦のプロで闘争本能丸出しの戦の神に勝てるわけもない。『強さこそ正義』という思考の戦の神にとって弱い邪神は同じ神族として許せなかったらしい。邪神の方は戦いたくないのに喧嘩を吹っ掛けてくる戦の神が苦手て避ける様になり、サチが仲裁に入るという日々の中で一つの事件が起こった。

魔王騒動だ。神々は地上に暮らすもの達の中で特に目をかける存在というのがいる。それは所謂『英雄』と呼ばれる存在になったり、『賢王』『賢帝』になったりする者達の事だ。神族の一柱である邪神も自分が初めて目をかける人間を見つけた。魔導師の家系に生まれるその子は、邪神の最初のお気に入りだった。


『戦の神も悪気はなかったみたいなんだけどね。邪神が目をかけていた子に自分の力を与えたらしいんだ。予定では魔力量を王国一にして、大魔法使いとして育つ手伝いをしよう、と。だけど、戦の神は『魔法だけじゃダメだ。武芸も身に付けさせなきゃ』と言って手を出してきたんだ。それで喧嘩になってね。生まれたのが、魔力を殆ど持たない子だったわけだ。戦の神が加減を間違えたらしい』


そこから全てが狂ってしまった。ようやく見つけた自分が初めて目をかける子。しかも魔導師の家系でありながら魔法を使えない子。戦の神は『武芸を身に付ければ良いじゃないか』と楽観的だったが、そううまく行くわけがない。結局は危険な実験の犠牲となり魔王が誕生してしまったわけだ。慌てた戦の神が自分の目をかけた騎士達を派兵させ討伐させた。今にして思えば、それも邪神にとっては屈辱だったのだろう。流石の戦の神も悪かったと思ったらしく、自室から出てこなくなってしまった邪神に謝っていたが返答はないまま時が過ぎていった。戦の神はあの手この手で謝り、ついに万策尽き創造神であるサチに仲裁を頼んだ。

サチは部屋に行き後悔したという。基本的に喧嘩の解決は本人同士に任せていたし、助けを求められない限りは手を出さないようにしていた。しかしもっと早く仲裁に動くべきだったと思った。部屋のドアを開けなくても分かる程に闇落ちしていたのだ。戦の神への怒り、悲しみ、憎しみ。そして何より自分への不甲斐なさを抱え込み、爆発寸前だったのだ。刺激しない様に根気よく話しかけていたのだが、戦の神が最後の引き金を引いてしまった。


『いつまでも引き篭っていないでさっさと出てこい!』


そう言ってしまったのだそうだ。


「ああ……それは……」

「言いたい事は理解できるけど~……」

「戦の神の性格も考えると、まあ、起こるべくしてって感じだな」


すっかり闇落ちした邪神は暴れ回り、戦の神ですら止められず邪神は地上に逃げてしまったのだ。


『地上に逃げてしまった以上、僕達では手を出せなくてね。その時丁度魔王の一件で犠牲になってしまっていたレア達を復活させる準備をしていたから、対処は任せようという事になって龍姫に封印を頼んだって訳』

「それが龍王への神託、か」

『そっ。で、とりあえず2帝国の皇子・皇女は先に転生させて、レアをもう少し時間を置いて転移させようとしたんだけど……』


ここで予想外の事が起きた。どうも魔王が復活しそうだ、と。それも『原初の魔王』と呼ばれる魔王以上の魔王が。対処に動いている内にすっかりタイミングが遅れてしまったため悠長な事を言っていられないという事になり、慌ててレアを転移させたのだという。あまりに慌てていたため、必要事項だけ手紙に書いて送り出したので、大分端折った内容になっていたという。


『ごめんなさい』

「いや、まあ、結果的に何とかなったから良いわよ」

「こうして~第2の人生も謳歌できてるもんね~」

「まさか『神族』になるとは思わなかったけどな」


そう、3人の種族は今や『神族』になっている。これは、今回の様な事が起きた時に対処するための人材確保だ。まあ、こんな事が何度も起きてはたまったものではないのだが。

事故は予想外に起きるものだから事故なのだ。これから世界が続く限りは生き続ける事になる。暗愚も生まれるだろうし、まさかの魔王復活もあるかもしれない。邪神復活は……ないかな。多分。

そう思いながら、膝の上にとぐろを巻いて眠る龍を撫でる。


「すっかりレアに懐いちゃったわね~、龍脈神獣~」

「まさか姿を見せるとは思わなかったよな」

「邪神の意識を取り込んで、それで受肉するなんてね。誰が予想するって言うのよ」


そもそも龍脈神獣は肉体を持たなかった。しかし邪神は肉体を持っていた。それは意志だけになっても同じだ。龍脈神獣は邪神の意志を取り込んでそれで受肉を果たしたのだ。意志は残っているが、何も出来ないし、レア達の処置のお陰で我を取り戻した邪神は以前の神族の頃の穏やかさを取り戻しているらしく、龍脈神獣と共に和やかに過ごしているそうだ。そもそもは創造神であるサチの神獣である龍脈神獣だが、元を辿れば創造神である自分の実験が原因だから良しとしたらしい。


「一緒に世界を守っていきましょうね」

『クォン!』

「ふ~。魔力美味しかった~!龍ちゃん~、魔獣食べる~?」

『ガウッ!』

「討伐面倒くさいからって食わすのかよ」

「いいじゃない~!需要と供給が噛み合ってるんだから~!」


美味しそうに魔獣を食べる龍脈神獣。面白そうに魔獣にけしかけるアンリ。それを呆れた目で見て笑うケン。そしてセバスチャンの入れた紅茶を飲みながら作った魔導具を元にサチと談笑するレア。

こんな穏やかな生活が永遠に続くといいな……と思ったのがいけなかったのだろうか。この数年後には近年希に見るスタンピードが各国で起き、各国が蜂の巣をつついた様な大騒動になりレア達も協力することになったのだが、それはまた別のお話である。


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