表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者レアの復活  作者: huwanyan
65/68

闇ギルド本部制圧作戦

時間にして数秒。念力によって緩やかに着地した3人は無言で合図を送り合い、レアを先頭に横穴に潜っていく。そして石造りの壁に当たると、レアは石壁に手を当てる。石壁は音を立てて大きなヒビが入り崩れた。目の前には大きな部屋があり、そこには人が集まっていた。


「今の何〜?魔法じゃないよね〜?」

「身体強化で壊しただけよ」

「お前、いつの間に人間卒業してたんだ?」

「今更でしょ〜?」

「だな」


何か色々と勘違いされている。私は人間だよ。今も、昔も、これからも。


「おい!こんな頭のおかしい奴らは追い出せ!」


ロマンスグレーの初老男性が大声で命じる。しかし、男の首はあっという間に宙に舞う。



「え”っ」

「アンタがギルドマスターね?こんな所に闇ギルドの本部ができてるとはね。リオネルと繋がってこっちに密輸したり、犯罪者をかくまったりしてたのよね?こんな所に匿われたら見つからない訳よね。これから今まで未解決だった事件の犯人捜索をさせてもらうわね」

「……」

「あはは〜!切り飛ばした頭を掴んで尋問とか〜、相変わらずよね〜」


一瞬でギルドマスターを撃ち取られた闇ギルドはパニック状態。無策に襲いかかり、ケンとアンリに切り伏せられたり、レアの魔法で吹き飛ばされたりしている。ギルドマスター室であろう部屋から出ると幹部連中も勢揃いしていたが、3人にとって歯応えのない相手であり、一瞬で胴体と首が切り離され、心臓に穴が空き、また木っ端微塵に切り刻まれるのだ。


「手応えないわ~」

「下からだったからもう少し強いやつがいるかと思ったんだけどな」

「ね~。もう少し強い子はいない~?」


ケンは切り捨てた幹部の胸を踏みながら、アンリはもう息をしていない相手をレイピアでツンツンしながらそれぞれ言う。彼らも大概であった。

すると上からギルド構成員が逃げる様に駆け降りてくる人数が増え始めた。曰く『悪魔だ!』『殺される!』『エルフ騎士団もいるぞ!』『何でこんな所に帝国騎士団が来るんだよ!』だそうだ。そんな者達も真空刃で切り刻まれ、『ご主人様』とセバスチャンが優雅に階段を降りてくる。


「上の制圧は終わりました。アルカディアの民に怪我人はいません。老人と女子供に若干名衰弱は見られましたが、ケアを行えば問題ないでしょう」

「そう。ありがとう。こっちも首魁は打ち取ったわよ。本当に手応えないんだから」

「ご主人様達を相手にしたら、手応えのある相手などそういますまい」

「さ~、コランティーヌちゃんに~報告にいきましょ~!」

「そうだね。雑魚達の処分と民の保護・治療は任せるわ」

「承知いたしました」


レア達は入った場所から戻っていく。

地上で呆然として待っていたコランティーヌはレア達を見てはっと我に返った。


「あ、あの……!」

「首魁は打ち取ったわよ」


そう言ってレアはギルドマスターの首を地面に投げた。


「コレで間違いないわね?」

「え、ええ……」

「さて、それじゃあ……」


レアがふぅと息を吐く。次の瞬間、キィンっという刃の交わる音が響き渡る。レアのロングソードとコランティーヌのパタンが打ち合った。


「あら?どうしたのかしら?」

「可笑しいと思ったのよ。地下にあんな大迷宮を作る事を、神獣を祖とする者達が、しかも国家元首が闇ギルドの首魁を夫にして許容するのか、ってね」

「脅されてたのよ?民を人質に……」

「その民は全員ギルドの構成員でしょ?本当の民はとっくの昔に全滅していて、民のふりをしたギルドの構成員やその家族が暮らしている。まあ、家族の中には王国や帝国から誘拐された子達もいるかもしれないけど、ほぼ全滅でしょうね。地下を探ったときに魔力の保有量から見て獣人は数十人ほどしかいなかったし。出迎えてくれた騎士達は殆どが貴女の力を使って操った"ゾンビ"なのでしょう?この国は既に闇ギルドの国になってしまっているのよ」


最初に違和感を感じたのは、国の民が一人としていなかった事。本当にレア達を警戒したのなら、むしろギルドとしては民は放置したのではないだろうか。いなくなったらそれはそれで問題ないのだから。逆に街にいると問題になる何か理由があるのだろう。当然だ。何しろほぼ全員が人間であり、獣人は数えられるほどしかいないのだから。乗っ取りがバレてしまう。

出迎えの騎士達からも巧妙に隠してはいたが"死臭"がしていた。帯同していた騎士達はいざ知らず、レア達やセバスチャンの鼻を誤魔化せはしなかったのだ。そしてコランティーヌに切迫感がなかったのも気になった。何処に目や耳があるのかも分からないのに緊張感もなく相談していた。


「ちなみに『紅葉』なんて子はいなかったわよ」

「咄嗟に私が作ったの~。確かに~私の護衛に狐獣人がいた事はあったけど~、あの子の名前は『櫻』だったもの~」

「それにお前、俺が『8本の尾』つったのに、突っ込まなかっただろ。『櫻』はあの時既に9本の尾を持っていたし、そもそもお前は転生者じゃないだろ?本当に転生者なら『日本語』の念話が使えたはずだ」


コランティーヌと会話しながらずっと『念話』で会話していたのだ。ゲーム内で言うチャットだ。転生者・転移者なら全員が使えるものだ。それをコランティーヌは使えていなかった。


「そう……最初から分かっていて、本部に突っ込んでいったのね」

「ちなみに、地下の執務室で打ち取った男は首魁ではないわね。首魁にしてはあっけなさ過ぎだったもの。首魁は、闇ギルドの総元締めは、貴女よね?コランティーヌ」


コランティーヌはそれはそれは獰猛な笑顔を浮かべた。


「ご明察よ。貴女が打ち取ったのは私の夫ではなく、ただの捨て駒。それでも私にゾッコンだったアイツは喜んで生け贄になっていたけどね」

「まあ、そうでしょうね。ちなみに元の首領達はどうしたの?」

「ああ、この女?私と戦って敵わないと思うやいなや、『私の命一つで、他の者達はお助けください』って命を差し出してきたのよ?もちろんくれるってものは貰っておくけど、望みを叶えてやる義理はないわよねー。甘ったれ過ぎて笑っちゃうわ」

「つまり首領を殺し、他の民も皆殺しにして、首領の皮を被ってこの国を乗っ取ったって訳か」

「あら、皆殺しにはしていないわよ?老人は確かに殺したけど、若い男達は、従順な奴らは私の可愛い『騎士(お人形)』にしたし、奴隷として売ったり、地下を掘るのに使ったりしたし、女子供もギルドの下働きに使ったり、構成員の欲求を満たすのに利用したりしたわ。ま、殆どが病んで自殺したり病気で死んだりしたのは事実だけど。それでもまだ獣人の中には生きている奴はいるわよ。流石は獣人よね。頑丈な『玩具』だわ」


ケンは額に青筋が浮かんでいる。アンリがそれを押さえながらも、警戒は怠らない。何しろコランティーヌの背後にいる執事の男がアンリ達の隙を狙っているのだから。


「全く。反吐が出る程の悪党ね」

「お褒めに預かり、光栄だわ」

「褒めてないわよっ!」


レアは切りかかった。刃の交わる衝撃で周囲に衝撃波が起きている。その剣筋は残像となり、誰の目にも追えない状態になっている。


「あらあら〜。大暴れね~」

「レアの奴、周囲の被害を何も考えてないだろ……」

「おやおや。背中ががら空きですよ?」


ケンの背後から声が聞こえる。そして刃が迫った。それを背中に背負う様に構えた剣が受け止める。


「心配には及ばない。私は後頭部にも目を持っているのでね」

「それはそれは。流石は『賢帝』と名高いバルテレミー皇帝だ」

「アンリ。そっちは任せたぞ」

「は~い」


ケンは執事に向き直って言う。


「お一人で良いのですか?」

「ああ。お前程度なら俺一人で十分だ。女帝陛下の手を煩わせるのも忍びないしな」

「あら~、戦っても良いのよ~?」

「やめとけ。女子供に酷い仕打ちをした奴と直接対峙させるのは男として憚られる」

「ふふふ。ケンさんの~そういう所は~尊敬するわ~」


アンリは穏やかに笑う。すると、上から物凄い勢いで何かが落ちてくる。


「では、女帝陛下にはこちらに相手させましょう」


執事は言う。落ちてきたのは一人の獣人。まだ幼い男の子の狐獣人だ。毛は白く、尾は9本ある。目は赤く焦点が合っていない。アンリの表情が引き攣る。


「まさか……!」

「そう、突然変異種の先祖返りだ」


神獣を祖とする獣人の先祖返り。それはもはや神獣である。特に赤い目の獣人は神獣であっても稀少だ。恐らく本物のコランティーヌの子息だろう。


「何て事を……!」

「ふん。稀少種だか何だか知らないが、獣臭いガキである事に変わりはない。こういうガキも『需要』はあるのでな」


執事はニタニタと笑う。ケンの頭の中でブチッと音がした。


「キサマァ……!」

「おっと。血の気の多い皇帝陛下ですな」


ケンは執事に切りかかった。執事は余裕のある笑顔で避けている。そして手に握るのは5本のクナイ。両刃が付いており、ナイフとしても使える優れものだ。適度に魔力も持っており、魔法で投げることも出来る、遠近兼ね備えた戦闘スタイルだった。


一方アンリは黙って獣人の子供と向き合った。毛を逆立てて威嚇してくるその子を、とても悲しそうな目で見つめる。


「貴方、コランティーヌ様の御子ね?怖かったわよね……」


そう言って少し目を閉じると、次に開いたその目は女帝のそれだった。


「朕がそなたを救ってやろう」


そう言ってアンリは魔力を纏った。いままで誰にも見せてこなかった全力。レアとケンだけが知っているアンリの本性。それは纏うオーラだけで相手を死に追いやる特殊な力。オーラを触手のようにして相手を絡めとり魔力を吸い上げて攻撃するという、アンリの固有能力だ。


「聖魔法エンチャント。包囲。隔離。光魔法エンチャント。包囲。隔離」


アンリは二重の魔力を纏う。普通はできない。アンリも馴れていないため、無詠唱では行使できない魔法だ。レアなら無詠唱でも出来る。というか、もっと効率的な方法で使えるのだが……


「時代に助けられた」


アンリはそう言って仔狐に向かって走り出した。仔狐は飛び付いてくるが、難なく避ける。そして触手を手の様な形にして仔狐を抱え込む。仔狐はジタバタとしていたが、光の手に撫でられて次第に落ち着きを取り戻す。手の中でコロコロとお腹を出して撫でられる仔狐はとても可愛らしい。くりっとした赤い目。白い毛並みは少し穢れているが、もう少し光の手でモフモフしたら問題ないだろう。


「ふふふ。可愛い~!」


アンリは絶賛癒し中の仔狐に癒されていた。

そんな中、一瞬で決着の付いたアンリと仔狐の戦いに執事仰天していた。


「何だ……!何なのだ!お前達は!」

「知りたいか?なら教えてやるよ」


驚きのあまり隙だらけになった執事の背後を取ってケンは切りかかる。執事は咄嗟にクナイで受け止めるが、魔力を纏わせているケンの大剣相手には不利な様で、少しずつヒビが入ってくる。


「創造神の意思で派遣された、『神の御使い』だよ!」


大剣に纏わせた魔力に火魔法のエンチャントを施す。しかもただの火ではない。酸素をたっぷりと含ませた青白い炎だ。その温度は普通の火よりも高温になる。当然、生半可な武器では耐えられない訳で……


「ば、馬鹿な!」

「どりゃぁ!」


クナイが折れ、執事も真っ二つになった。驚愕に目を見開いたまま切り口が青白炎で焼かれ、そして燃え尽きていった。


「ふぅ」

「跡形もないわね~」

「そっちも大丈夫そうだな」

「もちろん~!それにしても『神の御使い』って何~?」

「似た様なもんだろ?分かりやすくて良いだろ」

「まあ良いけど~」

「敵影なし。戦闘終了、だな」

「そうね~。レアも時間の問題だし~」


そう言って2人はレアの方に視線を向ける。あっちはあっちでとんでもないDead or Aliveを繰り広げていた。


予約投稿です。いいね、コメント、誤字脱字報告などありましたらお願いします。いいね・コメントは作者が喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ