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賢者レアの復活  作者: huwanyan
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邪神復活、と思っていた時期が私にもありました。

漆黒の髪とは正反対の石膏の様に白い肌。瞳は金色で爬虫類の様だ。服は赤に黒のレースのワンピース。ストッキングは黒に赤い薔薇の刺繍がされている。エナメルの黒靴は遠くから見ても綺麗だ。白い手に伸びる爪は長く尖った黒。人形の様なその姿に似合わないとんでもないオーラ。これはいくらレアでも敵わない。戦闘は止めておいて正解だった。正直言って龍脈鉱に押し込む事さえできるかどうか怪しい。ただ、確かに強いのだが、『邪神』と言われると違和感がある。


『……妾を封じた者は何処ぞ?』


艶やかで静かな声が問う。


「貴方が封じられて300年は経つわ。もう生きていないわよ」

『そうか……脆弱な人間だものな……当然か』


幼女の声は何処か寂しそうで、悲しそうで。どうにも様子がおかしい。


「邪神さん。聞きたいのだけど、貴方はこの世界を滅ぼす気はあるの?」

『滅ぼす?何を戯言を。何が理由でこの世界を滅さねばならぬのじゃ。そもそも妾は邪神ではないぞ?其方達のおかげで邪神はこの龍脈鉱から取り除かれた。残りは妾が自分の肉体を復活させるための力としたからの』

「……ちょっと意味が分からない」


レアは頭を抱えた。どゆこと?


「セバスチャン。何か事情は聞いている?」

「私も屋敷にいたので詳しくはわかりかねますが、邪神を封印するのに当時の王太子とその御学友、それと婚約者様が邪神討伐に向かったと言われております。そして婚約者様は邪神の魔力爆発から王太子を庇い死亡。悲しみ怒った王太子は渾身の力を持って邪神を龍脈鉱に封じた、と」


それはレアも知っている。御伽噺として有名になっているから、本を読んでいた。


『そうか……そうやって語られておるという事は、殿下はご無事であったのだな。良かった……』

「貴女、もしかして婚約者様〜?」

『うむ。妾は王太子の婚約者として邪神討伐に挑んだ。例えそれが殿下と『御学友』の謀りだったのだとしても。龍と人間との間に生まれた特殊な貴族であり、その膨大な魔力で相手の魔力を抑え込み、制御する事で相手に魔法を使わせない様にできる。そんな妾を使って邪神を抑え込み、その隙に妾ごと龍脈鉱に封じる事が本来の作戦であったとしても。その作戦で妾を排除し『御学友』であった伯爵家の子女と結婚する事が殿下と彼女の思惑だったのだとしても。……それでも、妾は今でも、殿下を心からお慕いしておる。この想いだけは、誰にも奪わせぬ。封じさせぬ。絶対に』


なるほど。それが真実か。彼女の目から溢れる涙はあまりにも美しい。それがこの話に真実味を持たせる事になった。


「と言う事は……」

「封印の必要がなくなった感じかしら〜?」

「そうみたいね……」


結局、邪神のエネルギーは吸い尽くしたし、残りのエネルギーは彼女が肉体を復活させるのに使ったみたいだし。


『封じる程ではないが、邪神の意思は残っとるぞ?一応封じておいた方が良かろう。意思を封じれば金輪際復活は敵わぬからの。妾が吸い上げても良いが、妾の意識が混濁する危険があるからな、それは神の力を秘めた神器であろう?それであれば邪神の意識とて封じるくらい容易いであろう』

「そっか〜。それじゃあ、やる〜?」

「そうね。貴女、こっちにいらっしゃい。そこにいると封印に巻き込まれるわよ?」

『ほぉ。妾を助けるのか?』

「どう見ても邪神ではないもの。そんな話を聞いちゃったら現役の辺境伯としては放っておけないわ」

『そうか。すまぬが、世話になるとしようか』


彼女はセバスチャンの横に避難する。少々予定とは違うが、封印を再開しようと思う。


「いくわよ!準備は良い?」

「おう!」

「良いよ〜!」

「じゃあ、カウントするよ!3、2、1!」


思い切り台座の窪み目掛けて剣を刺す。すると台座から剣に封じられていた魔力が龍脈鉱に向かって流れ込んでいく。そして龍脈鉱内を3本の剣に封じられていた魔力で満たすと、光の柱となって天に向かって伸びていく。光は3カ国に向かって分かれ、都にある城に向かって飛んでいく。それを受け止めるのは城の地下に封じられていた龍脈柱だ。龍脈柱は光を放ち、そして国を囲む大きな結界を作り出した。


『成功したみたいじゃな。もしやとは思っておったが、其方はあの賢者レア殿か?』

「よく分かったわね」

『ふん。この様なキテレツな行動が取れるのは噂に名高い其方しかおらぬであろう。モーリス殿から耳にタコができる程聞いておったわ』

「あれ、モーリスを知ってるの?」

『妾は特殊であったからな。龍を先祖にもつモーリス殿にご教授願ったのじゃ』

「ああ、なるほど。と言う事はモーリスはある程度の事情を知ってたのかしら?」

『どうであろうな。妾もあまりプライベートの事は話さなんだ。あえては突っ込んで問われる事はなかったが、薄々察してはおったであろうな』

「公表された話を鵜呑みにする様な男ではありませんが、死んだのは事実であろうと言う結論に至ったのではないかと」


セバスチャンの言う通りなのかもしれない。いずれにしても死んでいるのなら、今回の作戦には関係ないから話していなかったのだろう。セバスチャンだって彼女の存在は知っていたが、まさか龍脈鉱の中で意識だけを残しているとは思っていなかっただろう。


「とりあえず、戻ろうか。陛下に報告しないといけないし、貴女の話も伝えないと駄目だものね」

『そうじゃな。我が子孫は残っておるのだろうか』

「いえ。母君が発表に不満を表明した事で国家反逆罪に問われましたので……」

『そうか……まあ、あの母上であるからな。不器用で正義感の塊であったわ』


静かに微笑む彼女を連れてレア達は地上に戻った。


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