一行王国へ
2日後、レアは魔道飛行船の執務室にいた。……皇帝とともに。
「何故……」
「そりゃあ、久しぶりにレアと会ったら一緒に王国に行くだろう!」
「帝国はどうするんですか?」
「弟に任せてきた!」
相変わらずの自由人な皇帝である。
「まあ、良いんじゃない〜?国王陛下と直接会談できるんだし〜」
「アンリ」
「お前も誰かに頼んだのか?」
「元々、妹に任せてたから〜。ちょっと予定を変更して帰りが数日遅れるだけよ〜」
「それもそうか」
「違う……そうじゃない……」
駄目だ、この人達……早く何とかしないと……手遅れだけど。
「陛下には先に手紙を送ったからな。まあ、何とかなるだろう」
オクレール公爵は諦めた様に笑っていう。結局、第1皇子だけでなく皇帝と人魚の国の女帝までご同行と相成った。ナンテコッタイ。
「しっかし、この執務の量はなんだ?俺の執務室に届く書類以上だぞ」
「私の所にもここまでは届かないかな〜」
「国からの開発報告書はもちろん、今訓練場で訓練している人達の報告書、弟子達の活動報告書、魔王が出没した場所の経過観察に、魔導具の新作開発報告書、それにエルフの里との外交報告もあるし、今回新たに帝国と人魚の国との外交も増えたからそれもあるし……」
「……外交もやんないとダメなの~?」
「基本的に外交の担当はオクレール公爵なんだけど、私も辺境伯だからね。王国の開発とともに外交にも片足を突っ込んでるのよ」
「それに衰退した王侯を400年前の状態にまで戻すっていう国家事業もあるんだろ?過労で倒れそうだな」
「そうなのよねー……」
レアはサインとハンコを押してチェック済みの箱に書類を入れると、椅子の背もたれに身体をあずけて椅子ごとくるっと回る。
「良い加減疲れたわ!ハンコを押しても押しても減らない!」
「あ、レアがキレた」
「引きこもりたい!隠居したい!」
「はいはい。レア〜、よしよし~」
アンリはレアの頭を抱き締めて優しく撫でる。豊満な胸に頭が埋まり、何とも背徳的な様子となる。
「隠居するにはまだ早いよな。最低限、王都を400年前の状態に戻すまでは隠居できないだろ」
「……私が生きている間に終わるかしら?」
「終わるだろ。というか、不死だしな」
「……はい?」
レアはバッとケンを見る。
「どゆこと?」
「あれ?知らなかったか?創造神様のお詫びの中に俺達転生者・転移者の不老不死が含まれてるぞ」
「何それ!初耳なんだけど!?」
どうも復活させる時にイデアに組み込まれたらしい。レアの見た目もそのままなのだそうで、ある程度したらレア達の種族は『神族』となるそうだ。つまり弟子達の誰よりも長生きだという事になる。そういう大切な事は早く教えてよ!創造神!
「ありゃ?創造神、説明し忘れたか?」
「あるある〜」
「……とりあえず、船内を散歩してくる……」
「そうね〜。あんまり根詰めて仕事しても疲れるだけだもんね〜」
レアは疲れた顔をして執務を放棄した。アンリはニコニコと笑ってレアの後ろについて行った。
「……ありゃ、結構キタな」
「まあ、こちらとしては賢者殿が生き続けてくださるのはありがたくもあるが……」
寿命があるのとないのとでは大きく違う。前提条件が変わってしまった為、ここに来て計画を根底から変更しないといけない。つまりレアの仕事が増えてしまったという事だ。……今はそっとしておいた方が良いかもしれない。
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