魔王復活
1ヶ月が経過した。アルバン達は王都の近くにある “ 賢者の森 ” から少し離れた樹海で討伐していた。あれから定期的に主人様から連絡があり、この辺で魔王が復活する可能性が高いと言われていた。どうも妙なエネルギーの流れがあるらしい。
「主人様の話だと、この辺なんだけどなぁ」
デジレは辺りを見回す。鬱蒼とした樹海の中で、ひたすら魔力を感知するが、今の所怪しい感じはない。
「主人様の言う『妙な魔力』って何なんだろうねぇ。アタシには分からないんだけど」
「安心しろ。俺にも分からん」
クロエの言葉にアルバンは苦笑いをして言う。
「アニエス様は龍脈がどうのとおっしゃっていたが、そもそも龍脈が分からんからな」
「古い文献には多少の記載があったけど、結局 “ 神語 ” で書かれている部分が多くて分からなかったのよねー」
アルセーヌとドロテの言う通り、“ 龍脈 ” はこの世界にある魔力の中で地中を流れる魔力の総称なのだが、それはこの世界の均衡を守る役割も担い、それが乱れると世界に『混沌』が訪れると言われている。しかし、その “ 龍脈 ” を読み取る事ができる魔法使いがいない。そもそも、その存在すら知らない者が多い。これは賢者様の時代に賢者様の様な実力者が使っていた秘密の暗号、通称 “ 神語 ” で書かれた文献に多く書かれていた単語の一つとして有名なだけなのだ。その意味などは賢者から直接聞くまで知らなかった。
すると、突然地面が揺れ始めた。
「何だ?地震か?」
「地震なんて珍しいわね」
この世界において地震というのは馴染みがない。最初から一つの大陸だったこの大陸で地震が起きる原因がないのだ。ドラゴンが地響きを起こすくらいだ。
すると突き上げる様な揺れが起き、地面が割れる。
「うわっ!」
「何だ!?」
「総員退避!地割れに巻き込まれるぞ!」
騎士達を安全なところまで避難させようとするが、突然濃霧がたち込め、方向が分からなくなった。
「突然の濃霧……地割れ……そして異常な魔力……」
「間違いねぇ……コイツは……」
「「「原初の魔王!!」」」
目の前に現れたのは今までアルバン達が相手していた量産型とは比べものにならない程に強い、賢者レアが刺し違えて倒した魔王だった。
「伝令!“ 原初の魔王 ” が復活しました!」
「……恐れていた事態が起きたか」
陛下はため息を吐く。そう、誰もが恐れていた事。それは『賢者レアが不在の間に “ 原初の魔王 ” が復活したら』と言う事である。
「現場には誰がおるのだ?」
「アルバン達です!」
「うむ。『最低』の事態ではあるが『最悪』の事態は免れたと言う所か」
「しかし、それでも劣勢であることに変わりはないかと……」
「うむ。少しでも早く賢者様が戻ると良いのだが……」
「賢者様はまだお戻りにならないのか?」
宰相は騎士に聞く。
「はっ。アルバン達に報告が入り、『そこに龍脈の魔力が集まっているから、魔王が現れるとしたらそこかもしれない。私もすぐに行く』とおっしゃっていたそうです」
「そうか!では戻ってきて下さるのか!」
「しかし復活の段階で賢者様は不在。濃霧がたち込め、進入が不可能となっていると聞きます」
「ぬぅ……」
「……今は賢者様の奇跡を信じるしかないですな」
「そうだな」
国王は祈るしかなかった。
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