悲喜交々・死屍累々アドリエンヌ組
魔力媒体の使い方はそんなに難しくはない。そのため、午前中には全員魔力媒体を使っての全属性初級魔法の行使に成功している。
となればあとは実践である。一行はレアに連れられて森の中の『小屋』に向かった。そして周囲の森で戦闘訓練を行う事になった。今回はサバイバルの訓練も兼ねているため、森の中で3泊4日のテント生活を送らせ2日は小屋で休息し反省会。また3泊4日のサバイバルを繰り返し行った。
「はぁ……はぁ……」
「い、生きてる……?」
「な、何とか……!」
「す、すぐに回復しますね!」
アドリエンヌ組は森の中で野営場所を設置しようとしている時にシャドーウルフの群れに襲撃を受け、何とか討伐に成功していた。
「こ、この森、シャドーウルフいたのね……」
「俺も知らなかった……」
「魔獣リストには載っていませんね……。恐らく賢者様がいらっしゃった時には確認されていなかったのだと思います」
ベルトはレアから渡された魔獣のリストを見ながら言った。曰く、400年前のこの森では確認されていなかった魔獣がいるとの事で、生態調査も兼ねているらしい。
「それにしても、ベルト凄いじゃない!上級の回復魔法使えるようになったのね!」
「この間まで初級しか使えなかったからなぁ」
「け、賢者様の魔力媒体のおかげです……。上級の回復魔法を発動するのに必要な魔力をちゃんと集められる様になりましたから……」
回復魔法は基本的に一種類しかない。使用する魔力量によって『初級』『中級』『上級』『特級』に分かれるのだ。ベルトは魔力操作が苦手らしく、そこを魔力媒体に頼っている。その内に感覚で覚えていけるだろう、とレアは考えている。攻撃魔法ならともかく、回復魔法は繊細な魔力操作が必要とされる。時間をかけて長い目で見ていこうという事だ。
「しっかし、こんな所に賢者様の別荘があったとはな」
「元は精霊王の持ち物だったのを頂いたらしいわよ」
「あの辺は魔力が溜まっています。その理由は分かっていませんでしたが、精霊達がいたからなんですね……」
「この辺の魔獣が強いのも、あそこを守るためか?」
「そうでもなさそうよ?400年前は初心者向けの森だったらしいから」
「よく賢者様の知恵をお借りしたくて人が出入りしてたみたいですし……。あそこは精霊の力で、悪巧みをする者は排除されるらしいですから。魔王戦の余波もあそこだけは受けなかったらしいですし」
「そうか……じゃあ、400年前と比べて生態が変わったのはどうしてだろうな?」
レアもそこを調べている様だが、正直わかっていない事が多いらしい。前回、ここに篭って調べた時にも捕獲した魔獣の調査だけで1週間かかったらしい。
「このシャドーウルフの魔石も調査の役に立つと思うか?」
「多分ね。リストにないって事は前回は捕縛出来ていないって事だからね」
「さあ、ご飯ができましたよ。また襲撃されてしまう前に食べましょう」
この森では一瞬も油断は出来ない。急いで食べながら周囲の警戒もしなければならない。これを平気でこなしていたのであろうアルバン達の格の違いを改めて実感するアドリエンヌ達であった。
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