創造神と輪廻
『……聞こえるか?』
……誰?
『わしは創造神じゃ。そなたの魂に直接語りかけている』
創造神様ですか。お手紙以来ですね。
『うむ。わしらの不手際で色々と不便をかけておるな』
まあ、ゲームの中の世界に入り込んで生きるというのは中々新鮮ですからね。楽しんでますよ。
『そう言ってもらえて助かる。……さて、これには時間制限もある故、本題に入ろう。
こんな事をしているのには訳がある。そなたが推測していた魔王のエネルギーとわしのエネルギーが及ぼした影響の話じゃ』
ああ、あれですか。当たらずとも遠からず、という感じですか?
『うむ。実は調べたらな、シプリアンがイヴォンとして、アレクサンドルがエドモンとして、アルフレッドがクリストフとして、それぞれ転生した様なのじゃ』
あれ?宰相は違うんですか?それに『転生した様なのじゃ』って、創造神様が転生させたのではないのですか?
『うむ。転生は基本的に我が神族である生命神の仕事じゃ。そなたは事が事だっただけにわしが転生させたが。じゃが、生命神とて数多くの者を転生させておる。調べて初めて気がついたのじゃ。
して宰相だが、奴の魂は消滅しておる。己の魂を犠牲にして悪魔召喚を行なっておったからのぉ』
ああ、呪術師がアルフレッドを呪った訳じゃなくて、宰相が悪魔召喚をしてアルフレッドを殺したのね。……え、悪魔召喚?そんなのありましたっけ?
『プレイヤーは無用な事故を減らす目的で悪魔召喚はできぬ様にしてあったのじゃ』
ああ、なるほど。変な事故とか起きそうだものね。つまり宰相は望みを叶えてもらった代わりに文字通り『悪魔に魂を売った』って訳ですか。
「そういう事じゃな。シプリアンの魔導具がアレクサンドルの命を狙い、そしてアレクサンドルの魔導剣がその呪いをはね返そうとした。その魔導具達の魔石が『魔王の欠片』だった事もあり、当時広がっていた魔王のエネルギーによって相打ちになってしまった。そんな少々特殊な状況であった事もあり、魂の一部が傷ついておる。故に過去を思い出す事はないじゃろう」
正直、その方がありがたい。過去を思い出していないにもかかわらずエドモンがロクでもないと言うのは、やはり『三つ子の魂百まで』と言った所か。ちなみに魔王討伐直後の自然災害の数々は?
『あれもそなたの予想通り、魔王のエネルギーによる災害じゃ。過去は疫病の様に人々の気を狂わせたが、今度は環境に悪影響を及ぼした様じゃな』
やっぱりそうなんだ。ちなみに、もうエネルギーは残ってないですよね?
『……実はのぉ』
残ってるんですか?
『エネルギーの一部が集まって量産型魔王が復活しそうなのじゃ』
何それ!?まさか、今までの量産型魔王ってそういう理屈で復活してたんですか?
『そういう事じゃな』
今の戦力じゃあ量産型魔王でも壊滅しますよ!どこに現れるかも分からないし!
「それが、そうとも言えないのじゃ」
現れる場所が分かるんですか?
『魔王はそなたの実力を見て、討伐される事も見越して復活の準備をしていた様なのじゃ。いくつかの場所に『魔王の遺物』を残して、そこにエネルギーが溜まり復活できる様にしておる様じゃ。奇病の蔓延ではなく自然環境への影響が大きかったのはそのせいなのじゃろう』
その『魔王の遺物』の場所は?
『分からぬ。王国にあることだけは確かなのじゃがな』
では大きな王国の全ての領地を回らないといけないという事ですか……
『そういう事じゃな』
……最近、魔獣の生息地が異常なのもそのせいですか?
『可能性はあるのぉ。遺物の発見を防ぐために魔王の影響を受けた者がやっているのかもしれぬ。神とて全ての者を見ているわけではない。そして広く世界を見る事は出来ても、細かなエネルギー溜まりまではよく分からぬ。誰かがそなたの推測している様な方法で魔獣を改変している可能性も当然あるじゃろうな。魔王の討伐を邪魔するために』
迷惑な話ですね。
『じゃが、正直言ってそなたに来てもらって助かった。わしらだけでは分からなんだ事が判明したしのぉ』
ちなみに魔王のエネルギーって光魔法か聖魔法で浄化できるのですか?
『聖魔法で可能じゃ。そなたなら出来るじゃろうな。『魔王の塊』で飛行船を作るなら浄化してからにした方が良いのぉ』
いい事を聞いた!作ってから浄化は大変だものね!
『そろそろ時間じゃな。これからも頼んだぞ、賢者レア』
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