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エピソード23 ランチデートと新しいドレス

「うわぁ!凄い、ご馳走。綺麗!」


 私は、思わず声を上げる。

 目の前には、綺麗に盛り付けられた料理が、いつくも並んでいる。

 さすがは、人気のレストランだ。


 ダンスレッスンの次の日、私はルーベルトに連れられてランチを食べにレストランに来た。

 中々予約の取れない人気店を、彼が予約してくれていた。


「どうだい、機嫌直してくれた?」


 ルーベルトが、私に微笑みかける。

 この笑顔を見ると、何でも許したくなる。


 ずるい!!綺麗な顔で、いい笑顔するんだから…。


「いいえ、許してません」


 私は、本心を隠して、突っぱねる。


「子供だったんだよ、ついかっこつけたくなってさ」


 彼が、悪戯っぽく笑う。


「かっこつけるくらいなら、先に私に告白すればよかったのに」


 私は、そう言って拗ねる。


「告白すればOKしてくれたかい?」


 ルーベルトは、私の目を、じっと見る。


「まあ、あの頃は…」


 私は、言葉を濁す。


「あの頃は…何だよ。はっきり言ってくれ」


 ルーベルトが、私を問い詰める。


「断らなかったかもしれないなー。いや、断ったかもー」


 適当に返した。


「ただ、今の君は私の愛する婚約者だからな。忘れないでくれ」


 彼は、それ以上、聞いてこない。


「分かってます」


 そう答えた後、祈りをすませて、前菜のテリーヌを口に運ぶ。


「うまー!何これ最高!しっとりと柔らかくて、野菜と肉の旨味が口一杯に広がるわ!優しくハーブが効いていて、何とも言えない良い香り」


 思わず、そう言った。


「ふふふ、昨日は頑張ったからな。1食だけはいいと公爵夫人に言われている。好きなだけ食べるといい」


 ルーベルトは、美味しそうに食べる私の顔を、じっと見た。


「あんまり見ないで。女性の食事を、ジロジロ見るのはマナー違反です」


 私は、顔を赤くして抗議する。

 食いしん坊みたいで、恥ずかしいじゃない。




「うわぁ!凄い!綺麗なドレスばかり。私、この店に一度来たかったの」


 また私は、思わず声を上げていた。


 私とルーベルトは、食事の後に洋服店に来ていた。

 この店は、私が一度来たかった有名店だ。

 流行など、とても勉強になる。


「今日は、貸し切りにしてある。好きなだけ試着するといい」


 ルーベルトが、私に耳打ちする。

 こういうところは、とても素敵!


「どうかしら、これ」


 私は、いつもは着ないモーヴピンクのドレスを着て、ルーベルトの前に立つ。

 スカートが、たっぷりと広がっていて、ウエストの切り替えがVラインになっている。

 私でも、体型が綺麗に見えるようになっていた。


「素敵だよ、シャローラ」


 彼が、褒めてくれる。


「これも、素敵だわ」


 次は、ブルーのイブニングドレスを身に付ける。

 花の形にモチーフカットされたグリッター生地で、スカートが豪華に飾られている。

 とてもインパクトのあるドレスだ。


「素晴らしい。とても綺麗だ」


 ルーベルトは、そう言った。


「そうですね、とても綺麗なドレス」


 私は、答える。


「いいや、綺麗なのは君だ。君の姿を、美しく見せてくれるドレスだ」


 彼は、私の手を取って言った。


「とても仲がよろしいようで、羨ましいですわ」


 横にいた女性の店長が、そう言う。


「人前なので…」


 私は、恥ずかしくなって、手を後ろに隠した。


「恥ずかしがる必要はない。私達は、もうすぐ誰しもが知る仲になる」


 ルーベルトは、私に優しく微笑みかけた。


 今、この国で一番幸せなのは私かもしれない。

 ずっと苦労してきたんですもの、構わないよね?

 ダニエラやウイリアム公爵を思い出して、少し罪悪感が頭によぎった。


「では、2着とも買わせてもらおう。用意してくれ」


 ルーベルトは、店長にそう伝える。


「ありがとうございます、少々お待ち下さい」


 店長が、嬉しそうに答える。


「いけません。いくらすると思ってるんですか!?」


 私は、ルーベルトの袖を掴んで止める。

 ここのドレスは、一般的な平民の年収の3倍ぐらいする高価なものだ。


「構わない、昨日のお詫びだ。それに、とても似合っていた。このドレスは、君が着るべきものだよ」


 ルーベルトは、そう言った。


「そうです。この子達も、とても喜んでいますよ」


 店長が、ドレスを我が子のように言った。


「ありがとうございます。大切にします」


 私は、ルーベルトと店長に礼を言った。

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