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《★~ 女王就任式の日 ~》

 いよいよレアレイズンが女王として即位する、就任式の日を迎えた。

 重い病に伏しているポワロ八世は、式典に参加できないけれど、どうにか今日まで生き長らえたことを喜び、また大きく安堵している。これで思い残すことは、なに一つないという心境に達した。

 女王就任式が催される王城には、ペペロミアも姿を現す。多くの護衛兵を引き連れており、彼の表情は少なからず険しい。

 鮮やかな緑色に輝く伝統的なエルフルト民族の衣装を身に纏うレアレイズンが、三人の女官を従えて、戴冠の間へと通じる城内の廊下を、ゆっくりと優雅に歩いている。

 そこへ突如、ペペロミアの連れてきた護衛兵の十人が駆けつけ、瞬く間にレアレイズンたちを取り囲んだ。


「なんですの、無礼ですわよ!」


 レアレイズンは、毅然とした態度で護衛兵らに抗議した。

 それに続いて、第一女官のアルビュミンも鋭い叫び声を発する。


「なんとしても、お守りするのです!」

「はい、必ずや!」

「もちろんですとも!」


 他の女官二人も威勢よく返答し、身を挺してレアレイズンの盾になろうと、勇敢な態度を示した。

 しかしながら、屈強な護衛兵が女官を一人ずつ軽々と抱き上げ、容赦なく地面に向けて、放り投げるのだった。


「ぎゃあ!」

「あがっ、痛い!」

「うぐぅ!!」


 ついに、レアレイズンが一人だけになった。


「あなたたち、乱暴な振る舞いはおやめなさい!」


 この期に及んでも、抵抗の言葉を発するレアレイズンである。

 それでも護衛兵たちは、まったく聞く耳を持たず、この第一王女を捕らえて、用意していた丈夫な縄で縛り、城外へ連行するのだった。

 高みの見物で一部始終を眺めていたペペロミアが、追放されるレアレイズンの背中を見つめ、思わずつぶやく。


「ふふふ。これで俺が国王だ」


 護衛兵の一人が、こちらにきて問い掛ける。


「第二王女と第三王女も捕らえました。その二人も追放しますか?」

「いいや、あれらは両方、この俺の妃にしてやろうと思う。逃がさぬように、どこかへ閉じ込めておけ」

「はっ、了解致しました!」


 護衛兵は、命じられた任務を遂行するために、急ぎ駆け出す。

 こうして、本日予定されていた女王就任式は急きょ取りやめとなり、その替わりに、ペペロミアの王位就任式が催される。

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