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#13

挿絵(By みてみん)


オータム要塞の外壁上部通路の見張りの10代半ば位の兵士が、暇そうに4人でトランプをしながら警備をしている。

「意外と暇だな」「そうだな」「本当にネクティアは来るのか」「どうだろうな。一応戦力は削った訳だしな……おい!次はお前の番だぞ」

双眼鏡を覗き込んでいる兵士に呼びかけるがどこか様子がおかしく、左手で双眼鏡を持ち右手をトランプを興じている仲間に振りながら

「お、おい!敵だ!!メチャクチャ早いぞ!!!」

「なんだと、おい!警報鳴らせ!!」

すぐに近くの警報機に行き、スイッチを押すと警報音が要塞全体に鳴り響く。


要塞外の扉前で待機していたパイロット達は急いで、自分達の機体に乗り込む。

【クソ!敵はどこだ】

【2番機!正面からだ!!!】

【正面?どこから…】

ポリスガードタンクに乗っているパイロットが、機体の向きを変えようと森がある方向に向きを変えると、大型シールドと大型ランスを前面に突き出しながら突撃してくる重装甲型の薄水色の機体が、コックピットモニターに大きく映る。

パイロットは驚く暇も無く、ポリスガードタンクは大型ランスに突き刺され、なすすべもなくそのまま要塞の外壁に叩きつけられる。

【この野郎!!!】

近くにいた護衛機のコバルトが、ビームガンを薄水色の機体に向けて撃つ。

盾に防がれたのもあるが、装甲に当たってもビームはその場で霧散するかのように消えた。

【馬鹿な!なんだコイツの装甲は!!】

【そいつ1機だけに気を取られるな。もう1機来るぞ!】

【リカルド、狙いはお前だ!片腕がデカいヤツだ。クソ!なんだコイツの動きは…速いしトリッキー過ぎて狙いが】

ブォンとバイクのエンジン音の様に唸らせながら、右腕がやたらに大きいベージュ色の機体が縦横無尽に動き周り、一気にもう1機のポリスガードタンクに詰め寄り飛び上がり、ポリスガードタンクの両肩に足を乗せ右腕のバスターアームで頭部ユニットを包み込み、背中のジェネレーターに爪を突き刺す。

ポリスガードタンクは、”プシュー”と音と共に煙を上げながら全ての機能を停止した。

ほんの1分足らずで、2機のポリスガードタンクが機能停止に追い込まれた。

その様子を外壁上部の通路から見ていた他の兵士達が

「急いで全機出撃させろ!砲台も急いで動かせ!!早く、他にも来るぞ!!!」

兵士が上から見た様子から、少なくとも7機の機体が要塞に向けて突撃していた。





【始まったな】

トシはカガミにそう言いつつ、ヘルハンターでルヴニールの組み立て作業をしていた。

【そうみたいですね。トシさん、砲身を付けますよ】

トシが【ああ、頼む】と言うと、カガミはイヅナで砲身部分をルヴニール本体に取り付ける。

組み立てが完了し、次にトシはマニュアルを読み進めルヴニールとヘルハンターのシステムをリンクさせていく。

その間にもカガミのコックピット内には、前線で戦うメンバー達の無線が入り続けた。


前線では月光と秋水の援護に、エムジーのアルダートとリュウのデュークスが向かっていた。

アルダートは機動力があるため攻撃を避けて前に進み、デュークスはハンマーを前にかざして盾の代わりにして進んでいる。

要塞の外壁上部にも数機のコバルトが配置され、外壁上部からロングバレルビームガンを装備して下の味方機の援護に入ろうとしていた。

そこにアキの號龍がアサルトライフルで狙いをつけて打ち抜き、何機か爆散する。

城塞上部に下降器が用意され急いで機体を下に降ろし始めたが、そこにハルのマークスマインのサブマシンガンが火を噴き次々に撃墜していく。

黒いローブを着た兵士が周りにいる兵士達に「扉を開けて機体を出せ!」と指示を出した時だ。

爆発音と共に外壁上部の通路が揺れた。

爆発音が聞こえた方向を見ると下の耐爆壁の扉が焦げ付いており、またそこにミサイルと砲弾が飛んでくる。

視線を代えた先には要塞から少し離れた場所3ヵ所に、機体を隠せるくらいの壁がありその物陰からハヤテのリベラルクリフトのバックパックウエポンからミサイルが休み無く発射される。

そこから離れた右側に同じようにダイの富嶽が陣取り、バックパックウエポンのキャノン砲から轟音と共に砲弾が発射され要塞の扉に次々と命中させる。

前衛で戦うベンベン達をすり抜け、コバルト数機がリベラルクリフトと富嶽に詰め寄ろうとするが、2機を挟んださらに後方にジャガーのクロスドクターがコンパクトガードの後ろから、ライトマシンガンとバックパックウエポンのガトリング砲を使い撃破していく。


後方からそれを見ていたカガミとトシは

【今の所は作戦通りですね】

【今の所はな。だが、いつ状況が変わるか分からないのが戦場だ。ここから先の作業はシステムチェックだけだ。警戒の方を頼む】

【了解です】

カガミはいつでも敵が来てもいいように、イヅナに試作高出力ビームライフルを装備させた。





要塞上部の通路では、黒いローブを着た兵士が下の状況を見て

「まずい、ヴァン隊長も不在の状況でこうも一方的に押し込まれるとは……」

(このままでは作戦どころか、私の身も危ない)

近くに居た部下に

「ヴァン隊長に連絡は着かんのか!」と怒り気味に言うと

「それが、こちらの方はこちらで対処しろと……」

「新型機が出現した事は伝えたのか!」

「いえ、それは…あれはネクティアの新型機なのでしょうか?」

「バカ者!!!どこからどう見ても、報告にあった新型機であろう!今直ぐにヴァン隊長に報告しろ!!」

怒鳴り散らしている男の後ろから

「何を怒鳴り散らしている。ネクティアの攻撃は想定の範囲内だろ」と言って近寄ってくるヴァレリーとジョンが居た。

黒いローブを着た兵士は”チッ”と舌打ちをし

「下に居る連中だけでは、後10分も持たない。要塞の扉を開ける、貴様らも迎撃に出ろ」

そう指示を出されたがヴァレリーは

「バカを言うな。ここまで接近された状況で今要塞の扉を開けてみろ、あの4機に雪崩れ込まれるぞ!」

要塞前では、月光・秋水・アルダート・デュークスが暴れまわっており、手の付けようがない程にコバルトとポリスガードタンクが大破させられていた。

「ならばどうすると言うのだ!このまま全滅させられるのを待つとでも言う気か貴様は!!!」

「アンタ達の機体を出せ。アンタ等の機体なら、下降器を使わなくても下に降りられるはずだ」

「バ、バカを言うな!80メートルある高さから落ちれば、機体が損傷を負う」

「脚部に多少ダメージを負うだけだろう」

「そんな状況であの新型とやり合える訳がないと言っているんだ!」

「倒せとまでは言ってない、時間を稼げと言っているんだ。そうすれば、下降器を使って下に機体を降ろす事が出来る。それに砲台もあと数分で、稼働可能だ」

黒いローブを着た兵士は渋い顔をしつつ

「ダ、ダメだ!ヴァン隊長の指示が無い限り、我々は動けん!!!」と言い返す。

「なっ!?この状況でそんな事を言っている場合か!!!」

「うるさい!これは絶対だ!!お前らは、我々の指示を聞いていればいい!!!」

ヴァレリーとジョンは怒りを隠さない表情で睨むが、黒いローブを着た兵士も引く様子がない。

そこに

【俺の指示があれば、お前ら殺し合うのか。なら、ヴァレリーの指示通り動け】

兵士の一人が、タブレット端末を持って黒いローブを着た兵士の後ろに立っていた。

そのタブレット端末に映し出されていたのは、ヴァン隊長だった。

「ヴァン隊長!ですがそれでは……」

【俺様の命令が聞けないのか】

ヴァンの映像越しからでも分かる圧力に

「い、いえ、決してその様なことは」

【ならとっとと動け。俺達もそっちに戻る】ヴァンはそう言いきると、通信を直ぐに切った。

黒いローブを着た兵士は、又もや舌打ちをし

「全ガルビィード隊は命令通り外壁上部から降下し、下の敵を殲滅する!急ぎ機体に搭乗せよ!!」と指示を出し、自分も機体に向かった。





その頃ヴァンは要塞から少し離れた場所で、スカル・ルージュ隊と既に交戦していた。


【やってくれたなネクティア、まさかお前らの方が囮だとはな】

【フン!騙された貴様らが悪いだけのことだろう】

ヴァン専用ガルビィードとメグミ専用にカスタマイズされたコバルトは鍔迫り合いをしながら、お互いに睨み合っていた。

周りでもヴァンの部下達が、同型のガルビィードでネクティアのコバルトと交戦状態。


【隊長!援護します】とメグミの部下であるリンダが、コバルトのビームソードでヴァンのガルビィードに後ろから切りかかろうとするが、ヴァンのガルビィードはツインアックスと呼ばれる、実剣タイプの小型の斧を装備しており、左腕でメグミの機体を抑え右腕でリンダの攻撃を受け止める。

【指揮官機2機でこの程度かよ!前座にもならない弱さだな、おい!】

【なにぃ!!!】【不利な状況で、よくもデカい口を叩く!】

リンダとメグミはイラつきながらそう言ったが2人の一瞬の隙を突き、ヴァンのガルビィードは機体を捻らせ、右足でリンダの機体を蹴り飛ばし、左腕の力を抜きメグミの機体がバランスを崩し、前に踏み出した所を機体を翻してメグミのコバルトの背中に後ろ蹴りを入れ跳ね飛ばした。

跳ね飛ばされた2人は【クソ!】と、睨むが

【さて、お遊びはここまでだ。お前らに構ってる時間は無ぇ。助かって良かったな、ネクティア】と言い残し、機体を走らせ去っていった。


メグミとリンダは機体を立て直すと

【一応無事に作戦は進行中という事か】

【その様ですね】

【不満そうだなリンダ】

【あのまま隊長と一緒に戦っていたら、私達が勝っていましたよ…絶対に】

【本当にそれだけか?】

【あとは…彼らに借りを作るようで……正直嫌です】

メグミは小声で【いったいどちらが本音だろうな】と言うとリンダは【隊長何か言いましたか?】と聞き返してきた。

【いや。リンダ、隊の被害状況を知りたい】

【了解しました。すぐに調べます】





【チクショウー!ワラワラと湧きやがって!!お前らアリンコか!!!】

【ハルさん、後ろの2機頼んます】

【えっ、マジ!結構手一杯なんだけど】

要塞前では未だに戦闘が激しく続いており、敵のコバルトをリュウのデュークスとハルのマークスマインが応戦していた。

アキの號龍とエムジーのアルダートは、ジャガーのクロスドクターが居る場所まで下がり、補給を受けていた。

月光と秋水は、引き続きポリスガードタンクとコバルトを相手に戦闘を継続している。


その様子をカガミは焦りながら見ていた。

【トシさん!だいぶ皆がキツそうなんですけど。まだルヴニールは、発射出来ないんですか】

カガミの乗るイヅナが、トシのヘルハンターの方を向くと、ルヴニールの砲身から熱を帯びながら”ウォンウォンウォン”と音を立てながら発射準備に入っているのが(うかが)える。

【装填率約70%を超えた所だ。ムックさん達にそろそろ扉前の掃除を終わらせる様に伝えてくれ】

【分かりました】

カガミは画面を操作し通信を、全員に繋げ

【ルヴニール発射準備がもう少しで完了します。扉前の敵を急いで片付けて下さい】

【了解!】【アイよ!】とムックとベンベンが返事し

【こっちは射線外だからいつでもOK】【それよか早くアキさん達、代わって!弾が切れる~!!】リュウとハルからも返事が返ってきた。


そこにトシのヘルハンターから全員に通信が繋がり

【95・96・97・98・99 発射準備完了。射線を開けろよ、野郎共】

そしてトシは”フッ”と笑った後、操縦桿のトリガーを引く。

それと連動しヘルハンターの指もルヴニールのトリガーを引いた。

”ギィィィン”と音と同時にルヴニールから黒い球体の塊が発射される。

発射された黒い球体の塊は周辺の物を取り込む様に、空間を歪ませ進み扉にぶつかるとそこで綺麗に止まり、更に激しく周りの物を吸い込み続ける。

鉄が(こす)れるような激しい音がし、周辺に居た機体の一部は巻き込まれその球体に触れた場所から砕けていく。

(しばら)くすると球体は収縮し消え去った。

球体が消えたことで、扉が綺麗に(えぐ)られ扉の反対側が見える状態になった。


その様子を見てカイヤナイトメンバー達は

【いや~、何度見てもタマゲタ威力だね】

【なんか前よりもエグイ威力になってないかい?】

【本当に巻き込まれなくて良かった】

重力爆薬弾(グラビトンボンバー)の威力を知るアキ・ムック・エムジーの反応は、元となる威力を知っているせいか、それ程のものでは無かったが重力爆薬弾(グラビトンボンバー)を知らないメンバーは

【こんなとんでも無い威力なら先に言えよ!】

【危ないじゃないかダイ君!もっと離れろとか指示くれよ!!】

【なんつうもん作ってるんだ!お前ら!!】

リュウ・ベンベン・ハルは、あまりの威力に動揺していた。


ルヴニールを作った3人は

【出力系は安定しているみたいだね】

【射程距離に不安があったけど、これならもう少し離れていても大丈夫そうだね】

【量産化するなら、もう少し威力を下げつつパーツコストも下げれば…行けるか】

ジャガー・ハヤテ・ダイは他のメンバーとは違う観点から別の考えをしていた。





敵もルヴニールの威力に驚愕し、動揺していた。

「危なかったぜ。もうちょいで、あの球体に飲み込まれる所だった」

「助かった。ありがとう、ジョン」

「いいってことよ」

ルヴニールから重力爆薬弾が発射され扉に当たった時、ジョンは吸い込まれかけたヴァレリーの腕を掴み助けていた。

「だがマズイな。今のでかなり士気が下がったぞ」

仲間のD(デッド)キャンパー達は、今の一撃で腰を抜かし地面に尻餅を着いている者が大半で、戦意喪失状態だ。

ちょうどそこに黒いローブを着た兵士が乗った、獣の様な頭部ユニットをした機体 ガルビィードがやって来た。

【なんだこれは……、どうなっている!!!】と状況を把握していない事もあり、こちらも激しく動揺していた。

動揺している所に部下が

【まだ扉の穴は大きい物ではありません。アーマードブレインでは、扉を潜れないはずです】

【クソ!クソ!クソ!クソ~!!!何故私がこんな目に!!!】

機体がパイロットの気持ちをトレースしたかの様に、ガルビィードが地団駄(じだんだ)を踏む。

【行くぞ!ガルビィード隊!!!】と半ばヤケクソになりながら、外壁上部から飛び降りた。





その頃森の前に居るトシとカガミ達は……


【おい!なんだこりゃー!!!】

【ちょ、何ですかこの煙!】


重力爆薬弾を発射したルヴニールは、砲身の排熱パネルや他の排熱口が全て開きヤカンが沸騰した時の音を出しながら、白い煙を大量に吐き出し周辺の視界を奪った。


【おい!三馬鹿!!どう言う事だ】

トシが怒りながら、ダイ・ハヤテ・ジャガーに通信を繋げると


【いや~。能力的には、問題無かったでしょ?トシさん】

【問題大ありだ!敵にバレまくりじゃねぇーか!!】

【冷却システムに不備があるか…、そうなるとアーマードブレインとのリンクシステムも見直さないとな。改善点がまだ多そうだ】

【なに冷静に分析してやがる!】

【こりゃ量産化は当分先になりそうだね、ダイさん】

【そうなりそうですね】


『ハッハハハ』とダイ・ハヤテ・ジャガーが笑うと


トシはイラつきを隠すように小声で

【今度から開発費は削減決定だな】と呟く。

【トシさん、急いで次を撃たないと、敵がこっちに来ます!】

【チッ、手動操作で冷却する。カガミン、敵を近づけさせるな】

【了解です】

イヅナはビームライフルを構えて、接近してくるコバルトに向かって撃ち始めた。





要塞前では、城塞上部から飛び降りてきたガルビィードを相手に、月光・秋水・アルダート・デュークスが応戦中だった、

ガルビィードは脚部に多少ダメージがあるものの、戦闘に支障は見受けられない。


ガルビィードの装備はコバルトの持つ装備とは少し違い、ゲイルガンと呼ばれる光学兵器で、ビームガンよりも威力が上がった中距離用ビームガン。

但し威力の代償に、トリガーを引いてから発射するまでに2秒間のラグがある。


接近専用の武器もビームソードではなく、ビームブレードを所持している。

ビームソードとビームブレードの違いを簡単に説明してしまえば、積まれているジェネレーター出力の差である。

形状維持に回される出力が違い、ブレードの色も色濃い赤に輝いている。

ブレードの厚さと長さも、ビームソードの比ではない。


だが、カイヤナイト所有武器の実剣・実弾・装甲板に比べると、お粗末な物である。

その理由には、パイロットの腕では埋めるには限界がある世代差が、存在するのだが……

敵にはカイヤナイトの機体が何世代の機体か予想がつかない。

そのせいか、カイヤナイトの機体1機に対して、4機のガルビィードで囲む様にして戦闘をしている。

アキ達も援護に回ろうとしたが、ガルビィード隊が戦闘に参加したことでポリスガードタンクとコバルトが、號龍・マークスマインに狙いを変更したことで、身動きがしにくい状態になる。

そしてルヴニールから上がる白い煙に気付いた事で、要塞の外壁上部から下降器を使って降りてきた部隊は、ハヤテ達の防衛線を掻い潜り、何機かトシとカガミの居るルヴニールに向かう。


コバルトがトシのヘルハンター目掛けて襲い掛かろうとするが、カガミのイヅナがビームライフルで応戦し、それを全て阻止する。

【来るなら来い!…死にたい奴から前に出ろ!!】

カガミがそう敵に脅しを掛けると、敵のコバルトパイロット達も武器を構えながら、味方の誰かがイヅナに攻撃を仕掛けるのを待つ状態だ。

(ベンベンさんの言う通り、何機か倒した後に脅すのは有効的だな)とカガミが思っていると、トシが

【やれやれ、師弟揃って口とやり方がこんなに下品とは…。ウチのコミュのイメージをあまり落とすなよ】

【そんな!戦い方はともかく、今の言い方は問題無いでしょ!!!】

そこに通信を聞いていたベンベンが

【ちょっと待ってトシさん!ワタシ ソンナ下品なことイワナイヨ!?ちょっとカガミン!君のせいで、俺の親切かつ優しい人間のイメージが崩れるじゃないか!!】

【えっ!?ベンベンさんが、親切かつ優しい人間?……それ本気で言ってます?】

【おい!どういう意味だ⁉】


こんな会話をオープン回線でしていたせいか、これを隙と見てイヅナの左横からビームソードで切りかかろうとするコバルトを、シールドで受け止めビームライフルの銃口をコバルトの右肩にくっつけて0距離射撃をする。

そして左足で蹴飛ばし、その更に後ろを取ろうとする機体に、バスターソードに持ち替えて、コバルトの腰部分を横に切り払い真っ二つにする。

その間にルヴニールの発射準備が整い、発射態勢に入ろうとした時のことだ。

要塞外壁上部の両端と中央に、大型の砲台が通路から現れる。

大きさは17メートル程の高さと幅12メートルの光学砲台だ。

両端の大型ビーム砲台は、ハヤテのリベラルクリフトとダイの富嶽に照準が合わせられる。

【おい、マジか!】【ちょいちょい!勘弁してくれ!!】と2人は叫ぶ。

大型ビーム砲台はエネルギーチャージをすると、2機に向け発射する。

リベラルクリフトと富嶽に向かってビームが飛んできて、2機は後ろに飛びのき倒れる。

設置されていたコンパクトガードに直撃したが、ギリギリ破壊を免れたといった感じで、引き続きコンパクトガードの後ろに隠れるのは危険な状態になっていた。

そして中央にある大型ビーム砲台は、ルヴニールに照準を合わせていた。

それを見たハヤテが

【ダイ君!】【分かってます!!!】と言い、倒れた状態の2機は中央の大型ビーム砲台に向けて、リベラルクリフトはミサイルを発射し、富嶽はキャノン砲を連続で撃ち続けた。

運よく大型ビーム砲台の砲口の奥に、ミサイルとキャノン砲の弾が入り大爆発をおこす。

だがそこに、両端の大型ビーム砲台が、2機に目掛けてまたビームが発射された。

2機は左腕に装備された大型シールドで身を守る。

ガルビィード隊含め敵のコバルトのパイロット達は、やっと2機倒せたと喜びの声を上げたが、土煙の中からリベラルクリフトと富嶽が何事も無かったかのように現れると、今度は絶望するかの様な表情に変わった。

【あ~、マジで痛かった】【さすが我が愛機…って所ですかね】と、ハヤテとダイ自体も何事も無かったかのような振舞いだ。

実際には、各部にダメージがあるのだが、戦闘継続不能レベルのものではない。


そこにトシが

【二人共、速く避けないと巻き込むぞ】と2射目を発射するところだった。

【ちょっ!トシさん!!!】【あっぶねぇ!!!】

ハヤテとダイは、無理やりスラスターを吹かし、機体を引きずりながら態勢を立て直す。

2機が射線から出るのを確認し、トシはルヴニールのトリガーを引いた。

再びルヴニールから黒い球体が発射され、周辺の物を取り込む様に進み、今度は先程よりも大きな穴を扉に作った。

そしてこれも同じくルヴニールから白い煙が広がる。


【そろそろここもキツイか。ハヤテさん・ダイさん、前線を引き上げよう】

コンパクトガードの後ろに居たジャガーが、2人にそう指示をだす。

【分かった、俺はムックさん達と合流する。ダイ君とジャガーさんは、ベンベン氏達と合流して反対側の砲台を頼む】

【それはいいですけど俺達がここを退いたら、トシさんとカガミ君達の方に敵が流れませんか?】

【どの道砲台が出てきた時点で、ここで敵をせき止めるのは無理だよ。カガミ君・トシさん、そう言うことだから、支援の手は暫く止まるよ】


トシは、ルヴニールの冷却システムを操作しつつヘルハンターの副武装のサブマシンガンを左手に持ち、近寄るコバルトに撃ち

【大丈夫さ、こっちにはカガミンが居るからな】と言い。

カガミはイヅナでバスターソードを振り回しながら

【こっちの事は気にしないで砲台破壊に行って下さい。こっちは俺とトシさんで、どうにかします】と答える。


だがそこに通信を割り込ませる様に

【見たぞ!見つけたぞ!!ネクティアの新型!!!】


トシとカガミが、なんだ⁉と警戒し周りを見回すと、イヅナに向かって突撃してくる1機のアーマード・ブレインがいた。

ベンベン達が相手にしている機体と同型機のガルビィードだ。

だがその外見は他のガルビィードと違い、色が赤とオレンジ、白のトリコロール色に塗られており、実剣のツインアックスとゲイルガンを装備している。


ある程度イヅナに近づくと更に加速し飛び上がり、両腕にアックスを持ち、イヅナに向けて振り下ろす。

カガミは咄嗟(とっさ)にバスターソードで受け止め、弾き返す。


【今のに反応出来るか、ネクティアの新型!!!】


【鬱陶しい奴だな。コイツが親玉か】

【気を付けろカガミン、コイツは第二世代機のガルビィードだ。第一世代機のコバルトとは、基本性能が違う】

トシがカガミにそう伝えると


【その通り!ネクティアの使う雑魚機のコバルトとは、訳が違う。この俺ヴァン・ゲール様の為にカスタマイズされた、最強のガルビィードだ!!!】

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