新しい戦士
「そうだ、トオル君にはこれを渡しておかないとね」
と、富岡はポケットから黃色の装置を取り出し、トオルに手渡す。
「これは……新しいチェンジャー?」
「そうさ。ジュピターはシオンくんが使ってるからね。心機一転、新しいチェンジャーをとね。最終調整で少し遅くなっちゃったけど」
「ありがとう、富岡さん……これで、俺はまたヒーローに!ああ、この感じ!懐かしいな!」
トオルは少しはしゃぐような声色で言うと、チェンジャーを腕に装着した。
「じゃ、早速!変っ身!」
『The superme justice! マスクド・ルドベキア!』
光に包まれたトオルは返信音声とともに、炎のような紋様を全身に持つ黄色のヒーローに変身した。
黒く輝くバイザーと、獅子のタテガミのように広がる炎を模した頭部の装飾。さながらその姿は太陽のようだった。
「おお……いいじゃん、カッコいいじゃん、俺!」
ルドベキアは……トオルは嬉しそうに見得を切る。
「使い方は後でメールしておくけど……多分読まないよね、トオルくんは」
「ああ、あとはなんとなくわかるから大丈夫だ!変身解除は……こうだっけか」
トオルはチェンジャーを外し、変身を解いた。
「次のヴォイドの襲撃は、早ければ三日後だ。おそらく昨日の物よりも強い。くれぐれも油断はしないでくれよ。ああ、あとはこれ。」
と、富岡はシオンたちに硬貨大の歯車のようなものを手渡す。
「対ヴォイド用のウェポンギアだ。チェンジャーのスロットにさしこむと使えるよ。くれぐれも人や怪人には使わないであげてね」
シオンは頷き、ギアをポケットにしまった。
「あ、あの」
帰り道、シオンはトオルの背に声をかけた。
「どうした、新米ヒーロー?」
と、トオルが振り返る。
「あのとき……初めて会った時、助けてくれたお礼をまだ言ってなかった。ありがとう」
「助けられたのは俺のほうさ。そのスーツ、俺の不手際でお下がりになっちゃって悪いな」
「いや……カッコいいし、気に入ってるから」
「なら良かった。じゃ、またな!」
と、トオルは手を振り、去っていった。