反撃
怪物の腕をふらつきながらかわし、シオンはなんとか命を繋ぎ続ける。
──今一撃でも喰らえば、多分死ぬ。
後方へ下がりながら攻撃を避けるも、反撃の機は見えない。さらに反撃したところでさしたるダメージも与えることはできなさそうだ。
よろめき、足がもつれたシオンに怪物の鋭い爪が迫る。
──もう終わりか、いや。
シオンの脳裏に、キキとの組手がよぎる。
──力が強くても……これなら!
風を切り迫る爪を、シオンは左足を軸に回転しながら、払いのけるように受け流す。
力の向きを変えられた怪物は、僅かにバランスを崩した。
──いける!
体勢を立て直した怪物は再び爪を振るう。
──流れに逆らわず、方向を変え、力を加えれば!
シオンは巻き込むように怪物の腕を掴み、その力を利用し──投げる。
「そぉいっ!」
ふわり、と怪物は一瞬宙に浮き──土を撒き散らしながら、地響きを上げ地面に叩きつけられた。
「フシュ……ルルルル……」
怪物は立ち上がり、シオンに腕を振るう。
「うおおおお!」
シオンは再びその腕を取り、怪物を地面に叩きつけた。
「フシュルルルル……フシュ……」
怪物は動かなくなり、その体表が灰色に変わる。
「はあっ……はぁ……見たか……!この野郎……」
シオンは怪物を力なく蹴りつけると、サテライトのもとへ向かった。
「……生きてるか?」
「なんとかね。まさかここまでとは……」
シオンの問いかけに、さてらいとが弱々しく答える。
「立てるか?」
「修復中だよ。あと少し」
「そうか」
シオンは木にもたれかかった。
「どうせあいつ、まだ死んでないんだろ?」
シオンは灰色に変わった怪物を指さす。
おそらくまた姿を変えた怪物が中から出てくるのだろう。
「みたいだね。しぶとい」
「どうすれば倒せる?」
「死ぬまで倒し続けるしかないね」
「厄介だな……」
「ほんとにね、でもそれも終わりだ」
石のようになった怪物の体表がぴきぴきとひび割れ、砕け散る。
怪物の新たな姿は、鎌のようになった爪を持つ4本の腕と4本の足を備えた、どことなく人に近いフォルムだった。
「フシュルルルル……」
怪物はシオンたちを見定め、爪を振り上げながら近づく。
「さて、こっからどうする……?」
「どうもこうもないさ、僕たちの仕事は終わった」
サテライトは地面に座り込んだまま、シオンに答えた。




