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サテライト

 「フシュルルルル……フシュルルルル……」

怪物は呼吸とも鳴き声ともつかない音を出しながら、シオンを眺める。

「なぁ、これ逃げても大丈夫なやつ?」

『あと一分間だけ時間を稼いで。逃げたら人死にが出る』

「一分待てば勝てるんだな?」

『六割五分くらいの確率で……かな』

「……まあ、ゼロよりだいぶマシだな!」

シオンは拳を握り、構える。

「フシュルルルル……」

怪物は5つの目を鈍く光らせ、シオンに飛びかかった。

「くっ……!」

早い。空中にいる隙をつこうにも、十数本もある足から手痛い反撃を食らうのは明白だ。

シオンの真ん前に着地した怪物は鋭い爪を振るう。

なんとか横飛びにかわしたシオンの背後、木が何本か幹を切り裂かれ倒れる。

「あぶねえ、当たってたら死んでたなあれ……」

『あと50秒』

「わりと長いな!」

怪物はわしゃわしゃと足をうごめかせ、シオンの方に向き直る。

「なんか遠距離武器は!」

『ごめん、無いみたい』

「せめて長物…あ」

周囲の地面に転がる、切り倒された木。

「フシュルルルル……」

怪物はムカデのようにシオンに接近し、また爪を振り回す。

「こっちだ化け物!」

シオンは倒れた木の幹に立つ。

また爪が振り下ろされ、シオンは跳躍して避ける。

爪はそのまま倒れた木をちょうどいい長さに切った。

「おっしゃあ!喰らえっ!」

シオンは怪物によって作り出させた丸太を抱え、怪物を突く。不意を突かれた怪物はよろめくが、ダメージはあまりなさそうだ。

『残り20秒!』

「よっしゃあ!ガンガン行く……」

「フシュルルルル!」

怪物が腕をムチのようにしならせ、振るう。その爪が丸太を真っ二つに切り裂いた。 シオンの右腕ごと。

「っ……ああああああああ!」

喪失感と、焼けるような痛み。

ボタボタと地面に血が溢れる。

切り落とされた腕が地面に転がり、ただの人間の腕に戻った。

「うぅ……あと……何秒だ?」

さてらいとの答えはない。

怪物は勝ち誇るようにシオンにゆっくりと近づき、腕を振り上げる。ギラリと爪が輝く。

──ここまでか。

と、突如地響きとともに突風が巻き起こる。

「うわ!」

シオンは吹き飛ばされ、怪物の爪から逃れた。

「助かった……のか?一体何が……」

「待たせたね、シオン!サテライト・アドラステア、来たよ!」

怪物の背後、騎士鎧を纏ったような純白のヒーローが剣を構えた。








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