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二対一

 「さて、ヒーロー君。占ってあげましょう」

シルバーマナが正面に手をかざすと空中に浮かぶカードが三枚、引き寄せられるようにその掌の前に浮かぶ。

「太陽。月。星。反吐が出るねぇ」

シルバーマナはそのまま手を払い、三枚のカードは螺旋を描くようにシオンに襲いかかる。

シオンは身をひねりカードをかわすが、通り過ぎたカードは再び彼を狙う。

「そういうやつかよ、面倒な!」

ミサイルのように迫るカード。

シオンは避けながらも手を伸ばし3枚とも掴み取る。

「かかったね!」

シルバーマナが合図するように指を鳴らす──そのときには既に、シオンは彼女の目の前にいた。

「返すぞ!はあっ!」

三枚のカードを握り込んだシオンの拳がシルバーマナの胴に直撃し、カードが爆ぜる。

「ぐうっ!」

自ら起こした爆炎が、シルバーマナの肌を焦がす。

「俺は無視かよぉ、イモムシ!」

シオンは復帰したスィニーヴォルクの蹴りを受け流し、裏拳でその顔を殴りつける。

「ぐっ……」

ヴォルクはよろめき、数歩後ずさって倒れる。

「これで二対一か。丁度いい!」

頭を振りながらヴォルクが起き上がる。

「はあっ!」

シオンから距離をとったシルバーマナは舞うように両手を振り払う。

先程の三倍、九枚のカードが銃弾のようにシオンに襲いかかる。が。

「うおお!」

「え!?きゃぁっ!」

シオンは襲い来るカードを地面に滑り込んで避け、再びシルバーマナとの距離を詰める。

そしてその銀の腕を掴み、自分を支点に、踊るようにくるりと一回転させる。

背後から襲いかかるカードは全て、シオンではなく立ち位置を入れ替えられたシルバーマナに直撃した。

「きゃああ!くっ…」

ヴォルクは跳躍し、追撃をかけようとするシオンを止めるべく上空から音もなく襲いかかる。

「そいやっ!」

シオンはシルバーマナを持ち上げて盾にし、その攻撃を受け止める。

「しまっ……」

ヴォルクは攻撃を中止しようとするが間に合わない。

「う……痛いいぃ……ああああ」

鋭い爪の一撃が、ざっくりとシルバーマナを貫く。

その傷口から、赤い鮮血がぼとぼとと滴り落ちた。






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