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構え

 洗濯物が乾くまではまだ時間があるので、シオンはひたすらに乾くのを待っている鼠島を放置してアパートに戻った。

部屋の扉の前に、キキが立っている。

「よっ、いろいろ大変だったみたいじゃん。忙しくて助けに行けなくて悪かったな」

「いや……大丈夫だったし。今日はどうしたんだ?」

「いや、またちょっと鍛えてやろうと思ってさ。毎日練習してるとかさてらいとから聞いたぜ」

「もちろん。今の俺なら……」

「あたしに勝てるかもって?2億年早いよ。三葉虫からやりなおしな」

「いや……そこまでは……」

「なんだよ、男ならそんぐらい大風呂敷広げるもんだろ。なんたらかんたら八畳敷ってな」

「多分使い方間違ってるしうちは六畳だ」

「細かいことは置いといて。特訓その2だ。下降りな」

促されるままに、シオンは階段を降りる。

「今日は構えとかやってこっかな!構えてみ?」

どうやらいきあたりばったりで修行をつけてくれているらしい。シオンは少し不安になった。

「こ、こうかな。」

シオンは構えた。

「あー、ダメダメダメ。マイナス満点。」

キキは立てた指を振る。

「まず 半身はんみ。全く取れてない。」

「半身?」

シオンの脳裏にサバの切り身が浮かんだ。

「多分魚の切り身のことかなんか考えてるんだろうけど。発想としてはあながちハズレでもない。こういうふうに」

と、キキは体の側面をシオンに向ける。

「相手に向ける面を少なくするわけだが胸が正面向いてたら的がでかくなるからな。正面向きだとステップもこっちの半身に比べて遅い。やってみ」

「こう……かな?」

見様見真似で半身を取る。わずかばかりだが隙がなくなったような気がする。

「そうそう、いい感じ。体を横向けることにこだわり過ぎないのも大事ね。次は構えの腕かな。低すぎる。」

言われるままに構えを上げる。

「高すぎ。」

下げる。

「もうちょい上。」

上げる。

「そこ。だいぶ良くなった。あとは猫背か。背筋ぴんと!」

と、キキはシオンの背中を叩く。

不意を突かれたシオンは咳き込んだ。

「なにすんだよ……ゲホッ」

「曲がったものはたたいて直すのが信条!」

「人を家電かなんかと勘違いしてないか?」

「猫背はマシになったろ?」

「言われてみれば…」

確かに猫背は多少改善していた。

また荒療治か。






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