拠所
「やつの目的はおそらく、群体船の掌握だろうな……あの規模の墜落を見ていないはずがない。見ていなければ、キュステア達を狙ったことに説明もつかない……」
レドクスはまだ目を覚ます様子のないキュステアの手を握ったまま言った。
「なんだ、群体船って?」
「我々の……ヴォイドの住処だ。先程墜落した。再び起動させるには、上位種……つまり我かヴィーチェの遺伝子が必要だ。だからあいつは……」
ぎりり、と歯ぎしりの音が響いた。
「つまり、さっきの化け物がその群体船とやらにたどり着くとまずいってことかい?」
と、大取が尋ねる。
「間違いなく、奴は……イドスは群体船を使ってこの星の生命体全てを食い尽くすだろう。我らは出来なかった。だから奴はそれを上位種に成り代わって行おうとしている……我が妻を食らって……!」
「なるほど。じゃあ止めないとな。場所はわかるか?」
「止める……?お前が?」
「当たり前だろ。こちとら一応ヒーローやってんだ。」
「ヒーロー、か……お前は強いな。自分の役割を信じ、迷わない。なぁ、我はどうすればいい?住処を破壊し、妻を失い……戻る場所は……どこにある……?」
「その子さ、お前の娘なんだろ」と、シオンはキュステアを指す。
「ああ」
「なら守ってやれよ。その子がいる場所がお前の居場所だろ。」
「そうだな……この子が……キュステアが、我の最後の拠り所だ。」
レドクスは呟き、立ち上がる。
「我も連れていけ。この子のいるべき場所は、我が守る」
「そうか。なら頼むぜ。」
シオンはチェンジャーのボタンを押し、話しかける。
「と、いうわけだ。さてらいと!超特急で頼む」
『もう向かってるよ!』
モーター音と共に、バイク形態のサテライトがシオンたちの前で急停車した。