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瓦礫
「なんだよ、これ……何があったんだ?」
蕎麦屋の跡地を見てシオンは呟いた。瓦礫になったそこに、大取と、緑の男が佇んでいた。
「ああ、シオン君か。今日はちょっと賄い用意できなさそうだよ。ごめんね。」
「いや、賄いとかより……なんで店が瓦礫に?そしてなんでお前……名前忘れたけど……」
シオンは記憶を探るが、敵であるのに敵意の欠片もない緑の男の名は思い出せなかった。
「レドクスだ。久しいな。我は覚えているぞ。シオンと言っていたな、確か」
「ああ……そうだけど……まさかお前がやったのかこの惨状?」
「違う。我の落ち度ではあるかもしれぬが……」
シオンの問いに歯切れも悪くレドクスは答えた。
「私はいいよ。店なんて立て直せばいいんだしさ。レドクス君に比べたらたいしたことじゃない」
大取はさらりとシオンに言い、シオンに状況を説明した。